PCOSでも甘いものが食べたい~多嚢胞性卵巣症候群と食事の考え方~
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のご相談では、食べ物のお話になることがよくあります。
「PCOSと診断されてから、甘いものを控えています。でも、どうしても食べたくなってしまって」
「甘いものは全部やめたほうがいいのでしょうか?」
PCOSでは、排卵障害、月経不順、男性ホルモンの作用が強くなることなどが特徴的で、インスリン抵抗性が関与するケースもあり、食事や体重管理について指導を受けることもあります。
けれど、この”我慢”をいつまで続けることになるかは決まっているものではありません。
我慢を重ねて食事そのものがストレスになれば、毎日の生活が苦しくなることもあります。
今回は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と甘いものの関係を、漢方の視点も交えて考えてみたいと思います。
PCOSで「甘いものが欲しくなる」
PCOSでは「インスリン抵抗性」を伴う方がおられます。
インスリンは血液中のブドウ糖を細胞へ取り込む働きを持つホルモンで、インスリン抵抗性(=インスリンが効きにくい状態)では、身体はより多くのインスリンを分泌して血糖を調整しようとします。
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の方では約50〜80%に認められ、過剰なインスリンが卵巣を刺激して男性ホルモンを増やすため、排卵障害や生理不順を引き起こす原因となります。
ただし、PCOSの全員に同じ代謝異常があるわけではありませんし、個人差もありますので、「PCOSだから甘いものは禁止」と一括りにするより、まずはその人の代謝状態、体格、食事内容、活動量、生理の状態などを総合的に考えることが大切だと思います。
漢方では「甘いものが欲しい」とは
漢方では、甘味=「脾」の状態ととらえていきます。
「脾」は、飲食物から気血を生み出す働きの中心を担っています。
食べても疲れが取れない、食後に眠くなる、胃腸が重い、むくみやすい、便が軟らかい、身体が重い、などの状態が重なれば、漢方では「脾気虚」を考えます。
さらに「脾の運化機能」が弱り、身体の中に余分な水湿が停滞し、痰湿へつながる特徴が多嚢胞性卵巣症候群PCOSでは見受けられます。
「甘いものを食べた≠妊娠しにくくなる」
妊活中だからといって、甘いものを一口食べるたびに罪悪感を持つと言われるかたもおられますが、大切なのは、何をどれくらい食べるかだけではなく、食事全体の質と食べ方、そして体の状態だと思います。
例えば、空腹の状態で甘いものだけを大量に食べるより、食事の中でたんぱく質や食物繊維を含む食品と組み合わせるほうが、血糖値の急激な上昇を抑えやすくなります。
また、菓子類や甘い飲料を日常的に多量に摂る生活と、食後に少量の甘味を楽しむ生活では、体への影響も異なります。
「甘いものを食べない」という一点に集中するより、普段の食事を整えたうえで、無理のない範囲で楽しむほうが、長く続けやすい食生活につながるでしょう。
漢方では「卵巣」だけのトラブルではない
PCOSの妊活相談で大切なのは、生理周期や排卵の状態だけではありません。
食欲、体重、むくみ、便通、疲労、睡眠、冷え、ストレスなど、全身の状態を一緒に見ていきます。
例えば、脾気虚から痰湿が生じているのか。
肝気鬱結が強く、気滞から痰湿や瘀血につながっているのか。
腎虚が関係し、生殖機能と代謝の両面に影響しているのか。
PCOSといっても、組み立てる「証」は、お一人おひとり異なるのが漢方です。
甘いものを我慢することよりも必要なこと
妊活では、どうしても「これは食べていい?」「これは禁止?」と食べ物を一つずつ気にするようになることがあるかもしれません。
けれど、本当に知っておきたいことは、一つの食品だけではなく、毎日の食事で身体をきちんと養えているかということです。
一陽館薬局では、甘いものを食べたい気持ちまで含めて、今の身体を知ることから考え、無理なく続けられる食事と体づくりを一緒に進めていきます。
漢方薬・生薬認定薬剤師 樫谷陽子
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【子宝漢方と不妊相談の一陽館薬局】
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