生理痛は”いつ”痛い?漢方で原因を探る

「生理痛がつらい」というご相談は、今後もなくなることがないテーマかもしれません。
子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、癒着、流産後、季節性、ストレス、個人的体質・・など、ふと思いつくだけでも発痛要因はいくつも浮かびます。

今回は、「生理痛」が2段階に起こる とご相談いただいたケースから、生理痛についてまとめてみたいと思います。
子宮内膜症のため結婚されるのまで約10年間、ピルを服用し生理を止めておられましたが、結婚を機にお子さまを希望され、生理を復活することに。
生理が復活すると、やはり生理痛も再発してきました。
30歳を迎える年代にしては、ピルの影響もあってか、AMH値が0.8と低く、病院では体外受精をすすめられ3回目の採卵がうまくいかず、この先を案じてご相談いただきました。
なんとなく、生理痛のひどさと不妊が関係しているような気がしていました、と言われます。

生理痛がひどくなることが子宮内膜症悪化の兆候ではないかと心配そうなご様子です。

生理痛の原因は、これまでのブログでも度々ご紹介してきましたが、実は生理痛は「痛い時期」によって、その原因が異なります。
今回のお客さまは、➀生理が始まる前日~2日目、➁生理4日目~7日目頃、の大きく2段階、痛み止めが1日1回では効かないほどの痛みが起こります。
➀➁ともどちらも”痛い”ですが、痛み方の様子は違います。

漢方で、痛みを表す2つの考え方
「不通則痛(ふつうそくつう)」=気血の流れが滞って痛むのか。
「不栄則痛(ふえいそくつう)」=気血が不足して十分に養えず痛むのか。
この違いを念頭に置きながら、さらに「寒」「熱」「気滞」「血瘀」などの病機を重ねて見極めていきます。

生理前から痛む場合は基本的に「気滞」
生理が始まる数日前から下腹部が張り、出血が始まるとともに痛みが強くなります。
胸や脇の張り、イライラ、ため息、気分の落ち込みなどが重なる場合には、肝気鬱結が関係している可能性も考えます。
漢方でいう「肝」には、気の疏泄を調節する働きがあります。
生理前は気血の動きが変わる時期でもあるため、肝気の疏泄がうまく働かないと、気が鬱滞し、痛みにつながることがあるのです。

さらに気滞が長引けば、気滞血瘀へ進み、経血の血塊や刺すような痛みを伴うこともあります。
この場合は、血の問題だけでなく、疏肝理気を軸に、必要に応じて活血化瘀を組み合わせるという考え方も必要になります。

生理開始と同時に強く痛むなら「寒凝血瘀」や「血瘀」
・生理が始まった途端に強い痛みが出る。
・冷えると痛みが増し、温めると楽になる。
・経血が暗く、血塊を伴う。
「寒凝血瘀」では、このような特徴がみられます。
寒によって血が凝滞し、血行が阻まれることで痛みが生じるという病機です。

また、刺すような痛みや固定した痛み、暗紫色の経血、血塊などが目立つ場合には、血瘀そのものを重視します。
このタイプでは、状況に応じて温経散寒・活血化瘀などの治法を用います。

生理が進むほど痛む「血虚」とは
・生理開始直後よりも、出血が続くにつれて痛みが強くなる。
・生理の終わり頃までシクシク痛み、温めると楽になる。
・さらに、月経量が少ない、疲れやすい、顔色が淡い、めまいがあるなどの症状を伴う。
血虚がきっかけとなる特徴的な痛みに「不栄則痛」があります。
血が不足して、身体や子宮を十分に養えないために痛みが生じるという捉え方です。
この場合は、血流がよくなれば解消するものではなく、補気養血のアプローチが必要です。

「生理痛」という一つの症状から、見えてくる病機
漢方の考え方として、「生理痛がある」という症状だけでは、処方は決まらないという特徴があります。
痛みが生理前なのか、生理開始時なのか、後半なのか。
痛みが張るようなものなのか、刺すようなものなのか。
冷えると悪化するのか、温めると軽くなるのか。
経血の色、血塊、経血量はどうなのか。

さらに、疲労、冷え、食欲、睡眠、ストレスなどを含めて考察していきます。
同じ「生理痛」でも、身体の中で起きていることは、みな同じではありません。
ですから漢方相談では、症状の名前だけでなく、「その痛みは、いつ、どのように起きているのか」を大切に、じっくりお話をうかがいます。
一陽館薬局では、「生理痛だから、この漢方」ではなく、「なぜ、この時期に、この痛みが出るのか」に対して、適切な体づくりを一緒に考えていきます。

漢方薬・生薬認定薬剤師 樫谷陽子

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