40代、「卵子の質」を漢方的に考える
40代の妊活では、「卵子の質」という言葉を耳にする機会が増えてきます。
採卵後に「卵子の質が良くないですね」と説明を受けても、その理由や改善への道筋まで詳しく伝えられる機会は多くありません。
西洋医学では、加齢に伴う卵巣機能の低下や染色体異常の増加を重要な要因として捉えます。
一方、漢方では「なぜ卵胞が十分に育ちにくいのか」「なぜ妊娠へ向かう力が低下しているのか」という体全体の働きを考えていきます。
漢方が重視するのは、卵子そのものへの直接アプローチではなく、卵胞が健やかに成熟し、妊娠へ向かう力を発揮しやすい体内環境づくりです。
漢方では「腎精」の充実を重視する
漢方では、生殖能力や成長・発育・老化を支える生命エネルギーを「腎精(じんせい)」といいます。
古典『黄帝内経』には、女性は七年ごとに体の変化を迎え、四十九歳頃には「天癸」が尽き、生殖機能が衰えていくという考え方が記されています。
40代では腎精が徐々に消耗し、卵巣機能にも年齢相応の変化が表れやすくなります。
そのため漢方では、補腎を妊活における重要な柱として位置付けています。
さらに、補腎に加えて「血」や「気」の状態まで丁寧に見極めることが、より質の高い漢方治療につながります。
卵胞は「血」によって養われる
卵胞は発育の過程で酸素や栄養を必要とします。
漢方では、その役割を担うのが「血(けつ)」です。
血には血液という意味だけでなく、全身へ栄養を届け、組織を潤し、生殖機能を支える働きも含まれています。
「血虚」では、
– 卵胞の発育がゆるやかになる
– 子宮内膜が十分に厚く育ちにくい
– 月経量が少なくなる
– 月経周期が乱れやすくなる
といった傾向がみられます。
「補血」は40代の妊活を支える重要な治療法になります。
血流の停滞は卵巣機能にも影響する
十分な血が体内に存在しても、巡りが滞れば必要な場所へ栄養が届きにくくなります。
漢方では、この状態を「瘀血(おけつ)」と呼びます。
「瘀血」では、
– 経血に塊が多い
– 生理痛が強い
– 下腹部の冷え
– 慢性的な肩こりや頭痛
といった特徴が現れます。
卵巣や子宮も血流の影響を受けるため、活血化瘀によって巡りを整えることは、大切な考え方になります。
「気」の充実も妊活には重要
毎日の疲労や睡眠不足、精神的ストレスは、「気」の巡りや産生にも影響を及ぼします。
「気虚」ではエネルギー産生が低下しやすく、気滞では自律神経やホルモンバランスの乱れを招きやすくなります。
その結果、排卵周期や卵胞発育にも影響が及びます。
「補気」と「理気」も、体質に応じて積極的に取り入れる治療法です。
40代の妊活は「補腎・補血・活血・補気」の組み合わせ
40代の妊活では、「補腎薬を飲めばよい」という発想だけでは十分な成果につながりません。
例えば、
– 腎虚が中心なのか
– 血虚を伴うのか
– 瘀血が主体なのか
– 気虚が強いのか
– 陰虚による虚熱を伴うのか
証が異なれば、選択する漢方薬も大きく変わります。
漢方では病名や年齢だけで判断せず、証に基づいて処方を組み立てるのです。
漢方が目指す「妊娠力」を育むこと
漢方では、補腎・補血・活血・補気を組み合わせながら、一人ひとりの証に合わせて全身機能を整えていきます。
その積み重ねによって、卵胞の成熟、子宮内膜の充実、血流の改善、ホルモンバランスの安定など、妊娠へ向かう力を高めていきます。
実際の妊活では、
– 胚盤胞到達率
– 子宮内膜の状態
– 月経状態
– 冷えや疲労感
といった状況も大切な項目です。
漢方は卵巣だけを見るのではなく、「腎・血・気」の働きを総合的に整え、本来備わる生殖機能を十分に発揮できる体づくりを目指します。
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漢方薬・生薬認定薬剤師 樫谷陽子
【子宝薬局と不妊相談の一陽館薬局】
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