顕微授精でも受精しないとき
精子を直接卵子の中に注入する顕微授精(ICSI)は、体外受精の中でも最も積極的な受精補助の方法になります。
「これならば受精できるはず」と思っていた方にとって、それでも受精しなかったという結果は、先行きの不安が大きくなると言われます。
受精しない状況を抱えたまま、チャレンジ回数で幸運を引き寄せるしかないのでしょうか。
今回は、少し別の視点からも選択肢をご案内できればと思います。
顕微授精でも受精しないことは、起こりえます
顕微授精の受精率は平均して60〜90%程度とされており、100%ではありません。
繰り返し受精しない場合、医学的には以下のようなことが考えられています。
①「卵子活性化障害」
精子が卵子の中に入った後、卵子が正常に反応するためには、精子が持つある特定の因子が卵子内のカルシウム濃度を変化させる必要があります。
この反応がうまく起きないと、精子が入っても受精には至りません。
②「卵子の未熟・質の低下」
卵子が十分に成熟していない場合、受精する力を持っていないことがあります。
年齢の上昇とともに、この問題は起こりやすくなる傾向があります。
③「精子側の問題」
精子のDNAに損傷がある場合や、先体(卵子への侵入に必要な酵素を持つ部分)の機能に問題がある場合、精子が物理的に卵子の中に届いても、受精という化学反応が起きないことがあります。
このように、「授精(精子を注入する)」と「受精(受精卵になる)」は、実は異なるステップなのです。
顕微授精は確実に精子を注入する方法ですが、受精卵になるかどうかは別のことといえます。
漢方の視点から考えられること
医学的な治療では「受精という反応がなぜ起きなかったか」という機序に注目するのに対し、漢方は「その人体全体の状態」に目を向けていきます。
漢方では、生殖に関わる力は「腎(じん)」が担うと考えます。
腎の力は、生命エネルギーそのものであり、卵子・精子の質や、受精後の細胞分裂の勢いにも関わると捉えています。
また、「脾(ひ)」は栄養の吸収・運搬に関わり、卵子を育てるための材料を全身に届ける役割を担います。
さらに「肝(かん)」は気血の流れを調節し、自律神経やホルモンバランスを整えることで、生殖環境を支えています。
受精しないという状態を漢方でとらえると、「卵子や精子のパーツが揃っていない」という問題ではなく、「命が宿るための体の準備が整っていない状態」といえます。
卵子の質を高める、精子の生命力を底上げする、受精卵が育つ環境を良好に保つことは別個の問題ではなく体全体の状態が関わっているのです。
一陽館薬局では
体外受精や顕微授精を繰り返しても結果が出なかった方から、多くのご相談をいただいてきました。
その中で、漢方で体質を整えることで「同じ治療でも結果が変わった」という経験を、積み重ねてきました。
大切にしているのは、「その方がいまどういう状態にあるか」を見極めることにあります。
お一人おひとり体質も、これまでの治療歴も、体への負担のかかり方も違います。
顕微授精でも受精しなかったという現実を手段だけで乗り越えようとするよりも、体の状態を整えるという別の側面からアプローチするという選択肢があります。
まずは、お気軽にお話をお聞かせいただきたいと思います。
妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。




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