確率は可能性ではない
「不妊治療での妊娠率の低さにショックを受けました・・・」
とご相談いただくことが多くなっています。
不妊治療こそ最も確率の高い方法だと思われているかもしれません。
不妊治療は、精巧な高度な技術だと思いますので、軽はずみなことは言えませんが、シンプルに言えば、さまざまな検査や医療技術で体を妊娠へと導く医療なのでしょう。
なのに、正直なところ「1回では妊娠に届かない覚悟」が必要なのが現実です。
何度か続ければそのうち・・・とか、思ったより長期化してもしかたない・・・とか、「頑張り抜く強さ」を求められことに疲れてしまったというお声が一陽館薬局には寄せられます。
不妊治療で確率が上がる条件は、一言でいえば「受精」の段階に何らかの課題があるケースかと思います。
つまり、何らかの事情で受精がうまくいかないということです。
受精がうまくいかない要因には、
・卵子の発育・卵子の質・排卵、といった卵子の環境と・精子の質・精子の強さ、といった精子の状態、そして性交に必要な精力、体力
などが考えられます。
人工授精や体外受精では、このステップをアシストし、次の「着床」のステップへと進むことを可能にしていくものと言えるでしょう。
では、もし「不妊治療により確率が上がる対象」ではない人は、どうすればよいのでしょうか。
「私の年齢では・・・」
「AMHが低いので・・・」
というご相談をいただくことがあります。
確かに、妊活や不妊治療において「確率」は重要な指標です。
年齢別妊娠率、採卵あたりの胚盤胞到達率、移植あたりの妊娠率、生産率など、多くのデータが治療方針を考える際の参考として説明されます。
けれど、ここで知っておいていただきたいことがあります。
それは、「確率は可能性そのものではない」ということです。
統計データは、多数の症例を集めて得られた「集団の傾向」を示しています。
一方で、妊娠は一人ひとり異なる身体の中で起こる現象です。
同じ38歳でも、
・卵巣予備能
・卵胞発育の状態
・子宮内環境
・ホルモン分泌
・血流状態
・栄養状態
・睡眠の質
・慢性的な炎症の有無
等々、見る角度によっても”前提条件”が大きく異なります。
つまり、年齢や検査値が同じであっても、妊娠力は同じではありません。
例えば、AMHは卵巣内に残っている卵胞数の目安にはなりますが、卵子の質そのものを直接評価する検査ではありません。
また、FSHやE2などのホルモン値も、その周期の卵巣機能を反映する指標であり、妊娠の可否を決定するものではありません。
検査値は、身体の一側面、つまり「一つの点」のようなもので、その「一つ一つの点」をどこまで増やしても、妊娠力の全体像としてとらえることは難しいのです。
実際に不妊治療の現場では、予想以上に良好な胚が得られる方もいれば、数値上は問題がなくても受精卵の発育が思うように進まない方もおられます。
そこには現在の医学でも完全には説明できない部分が存在しています。
統計は過去の集団データであって可能性が決まるわけではありません。
大切なのは、ご自身にしっかり向き合って、持てる力を最大限に発揮できる状態へ近づけていくことです。
妊活とは、その「可能性を育てていく過程」でもあると思います。




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