漢方薬とサプリと不妊治療。

「漢方医学を理解する」となれば、奥深く、幅広く、経験を積み・・・それは一朝一夕には達成できることではありませんが、一陽館薬局で漢方をご利用の方には、現代の漢方の位置付けをご理解いただきたいと思っています。
今、ご自身が服用しているものの役割を知って頂くことは、何よりも効かせるコツに他ならないと思うからです。

よく混同されるのは、サプリメントです。
サプリメントは、ある成分を体に補給するものです。
漢方薬は、内臓が十分に機能するように働きを補うものです。
つまり、サプリメントは「成分、物質」であるのに対し、漢方薬は「臓器、はたらき」という点で、大きく異なります。
例えば、「卵子の質を良くしたい」という場合に、卵子の栄養成分や作られるために必要な物質を供給するのがサプリメントで「DHEA」「ミトコンドリア」などが該当するかもしれません。同様の目的で漢方薬の場合は、良質な卵子をつくりだす卵巣やホルモン分泌を良好にする腎といった卵子産生にかかわる臓腑を元気にすることで本来の機能が発揮できるようにするということです。

また、不妊治療と漢方薬を併用される場合にも、誤解されているケースがあります。
不妊治療は、今の体の力を引き出して妊娠への道すじを確実に推進する措置ですが、漢方薬は、今の体の力の過不足を調整して妊娠に必要な卵子の状態や子宮環境を良くしようという働きです。
例えば、「体外受精に漢方薬を併用する」という場合には、採卵・移植・ホルモン補充といった治療と、元気な卵子を生み出す力・良質な子宮内膜・ホルモンを産生する働きなどの体の状態に作用する漢方薬とは、目指すのは同じ「妊娠」であってもアプローチが全く異なります。ですから場合によっては、不妊治療中の方が漢方薬を併用することでうまくいったり、不妊治療を妨げることもないのです。

それと、病院での西洋医学的な漢方薬の捉え方と、私たちのような漢方的な視点からの漢方薬の捉え方は、異なることが多いです。
例えば、よく婦人科系で用いられる「当帰芍薬散」という漢方処方がありますが、病院で使用される理由とは全く異なる理由で用いるということも珍しいことではありません。

このように、それぞれの領域を知り、ご自身の状態に照らし合わせながら、それぞれのメリットを正しく活用されるとよいと思います。

多くの方が、断片的な情報はたくさん持っていても、どのように活用するのか、自分にとってどういう意味があるのか、どのようにして選ぶのかという、本質的なところが見えないまま突っ走っているように見受けられます。

どうぞ迷われたときは、ご相談ください。
お客様ごとに「メリットを効率よく活用する方法」を一緒に見つけていきたいと思います。

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