漢方が夜の睡眠を重視する理由
「夜10時から深夜2時は大切。」
一度は耳にしたことがあるという方もいらっしゃると思います。
現在の睡眠医学では「22時という時刻そのものに特別な意味がある」とは考えられていません。
一方で、漢方では二千年以上前から、夜は身体を養う最も重要な時間と考えられてきました。
これは単なる経験則ではなく、そこには、自然界のリズムと人体の働きを一つの生命現象として捉える、漢方ならではの奥深い理論「子午流注(しごるちゅう)」という考え方があります。
これは、一日の24時間の中で気血が十二経脈を順番に巡り、それぞれの臓腑が最も充実して働く時間があるという理論です。
夜になると、
・21~23時 三焦経
・23~1時 胆経
・1~3時 肝経
へと気血が巡ります。
この時間は、日中の活動で消耗した身体を回復させ、翌日に備えるための大切な時間とされています。
漢方の古典『黄帝内経』には、「人臥すれば血は肝に帰す」という言葉があります。
眠ることで血は肝へ帰り、蓄えられ、必要に応じて全身へ送り出されるという意味です。
ここでいう「血」は、単なる血液を指すものではなく、身体を潤し、栄養し、精神活動を支え、生殖機能を維持する生命活動の動力源です。
つまり睡眠とは、身体を休ませる時間ではなく、血を養い、生命力を蓄える時間と考えられてきたのです。
漢方では、月経・排卵・着床・妊娠の維持まで、そのすべてに十分な「血」が必要だと考えます。
夜更かしが続けば、血を養う時間が不足し、
・月経量が少ない
・子宮内膜が育ちにくい
・疲れやすい
・眠りが浅い
・精神的に不安定になる
といった状態につながりやすくなります。
もちろん一晩夜更かしをしたから血が不足するわけではありません。
でも、毎日の生活習慣は少しずつ身体に影響を積み重ねていきます。
妊活では、その積み重ねが体質として、”結果”を左右することもあるのです。
現代医学では、成長ホルモンは眠り始めの深い睡眠で多く分泌され、睡眠中には細胞修復、免疫調節、代謝調節、自律神経の回復などが行われます。
また、夜間にはメラトニンが分泌され、体内時計を整えるだけでなく、抗酸化作用を介して生殖機能との関連も注目されています。
子午流注そのものを現代医学で説明することはできませんが、「夜は身体の内側で修復と回復が進む時間」という考え方は、現代の睡眠科学とも共通する部分があるようです。
「22時だから特別」なのではありません。
大切なのは、自然の昼夜リズムに合わせて十分な睡眠をとり、身体が本来持つ回復力を最大限に発揮できる環境をつくることです。
漢方が夜の睡眠を重視する理由は、単に疲れを取るためだけでなく、気血を養い、五臓を整え、生命力を蓄える時間だからです。
漢方理論に裏付けられた「妊活」は、漢方薬だけでなく、夜の過ごし方そのものが「身体づくり」の一部になるのです。
小難しいことはさておき、ぐっすり眠って、体力の充実をはかることが大切ですね。




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