寒暖差と冷えのぼせ~「上熱下寒」「瘀血」から考える秋の妊活と漢方~
秋の妊活は「上熱下寒」と「気血の巡り」に注目
日中は薄着でちょうどいいのに朝晩は思ったより冷え込みを感じることがあります。
足先や下腹部は冷たいのに、顔や頭はほてる。
布団に入ると足が冷えている一方で、上半身は熱を帯びて心地悪い。
秋が深まる頃になると、日中と朝晩の寒暖差が大きくなり、体温調節が難しく感じられるお声が聞かれます。
冷え対策を意識しつつも、のぼせや寝汗、寝つきの悪さなどが気になられることはないでしょうか。
漢方では、「冷え性」の一つのタイプとして、体内の「寒」と「熱」の偏り、気血の巡りなどから考えていきます。
冷えとのぼせが同時に起こる「上熱下寒」
漢方には「上熱下寒(じょうねつげかん)」という考え方があります。
上半身には熱感がある一方で、下半身には冷えがある状態を表す言葉です。
顔がほてる、頭が熱く感じる、首から上に汗をかく、それなのに、足先や腰、お腹は冷たい・・。
このような場合、漢方では体の上下における寒熱の偏りに着目します。
たとえば、気の巡りが滞る「気滞(きたい)」によって熱感が上部に現れやすい場合、血の巡りが滞る「瘀血(おけつ)」が関係している場合、体を温める陽気の働きが弱まって冷えが目立つ場合などが考えられます。
「気滞」「瘀血」「陽虚」での、冷えの捉え方
同じ「冷えのぼせ」でも、気血の状態や気のめぐりによって、見方が異なります。
●気滞(きたい):気の巡りが滞る
気滞は、気の流れが滞った状態を指します。
ストレスや緊張が続く、胸やお腹が張る、ため息が増える、気分の変動とともに体調が不安定になるなどの場合、漢方では肝の疏泄(そせつ)機能との関係を考えます。
肝の疏泄は、気の巡りを調整し、心身の働きを円滑に保つ機能として考えられており、「気滞」が関係する場合は、単純に温めるだけでなく、気の巡りを妨げている要因にも目を向け対応することが必要です。
●瘀血(おけつ):血の巡りが滞る
瘀血は、血の巡りが滞った状態を表します。
生理痛、経血の塊、経血の色や状態、肩こり、などを含め、さまざまな症状も合わせてみていきます。
冷えによって血の巡りが滞りやすくなるとさらに体が冷えやすくなり、またさらに血の巡りが悪くなるという悪循環にもつながります。
●陽虚(ようきょ):体を温める働きが不足する
陽虚は、体を温め、活動を促す陽気が不足した状態を指します。
手足や下腹部が冷えやすい、寒さが苦手、疲れやすい、温めると楽になるといった傾向が見受けられます。
冷えの要因は「血」と「腎」の働きにも影響されます
漢方でいう「血」は、全身に栄養や潤いを届けるものとして捉えられます。
血が不足する「血虚(けっきょ)」では、顔色、皮膚や髪の状態、めまい、生理の状態などを合わせて検討します。
全身に温かさを運び届ける血の働きが弱っていると、体が温まりにくくなってしまいます。
成長や発育、生殖に関わる「腎精(じんせい)」は、生命活動の根本のエネルギーを担います。
体温を保つためのエネルギーや温かさを生み出す力が不足していると体は熱をつくることができなくなってしまいます。
冷えているから、強く温めればよいというものでもなく、反対に、ほてりがあるからといって、体を冷やすことが適しているとも限りません。
冬の寒さに備えながら、夏の過ごし方から秋冬の生活へ切り替えていく時期ですから、薄着を避ける、首・お腹・足元を冷やさない、冷たい飲食物に偏らない、睡眠時間を確保するなどの養生を重ねながら、季節の変化にうまく対応していきたいものです。
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**漢方薬・生薬認定薬剤師 樫谷陽子**
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