妊娠力は「腎」から〜漢方の「先天の本」と二人の妊活〜
「卵子の質」と「精子の運動率」
お二人で体質から整えたいと考えてご相談をいただくことがあります。
女性では卵子の質や子宮内環境、男性では精子の濃度や運動率など、検査結果がプレッシャーとなることもあり、できれば自然の状態を整えたいと言われます。
もちろん検査は重要であり、不妊治療を選ぶか漢方を選ぶかというテーマではありません。
今回は、「生殖機能を成り立たせている体そのものの状態」について漢方的に一段深く考えてみたいと思います。
「腎は先天の本」という漢方の考え方
漢方では「腎は先天の本」といいます。
「腎」は、現代医学でいう腎臓そのものと同じではなく、成長、発育、生殖、加齢など、生命の根本に関わる働きを含む漢方独自の概念です。
「先天」とは、生まれ持った生命の基礎を指します。
その中心にあるものが「腎精」です。
人は成長し、身体が成熟し、生殖機能が整い、やがて年齢とともにその活動も変化していきますが、この生命の経過を「腎精」の充実や消耗という考え方から捉えていきます。
ですから、妊娠を考えるときにも「腎」は重要な要素になります。
女性の妊娠を「腎」から見ます
女性では、成長とともに生殖機能が成熟し、生理が始まり、排卵が繰り返されます。
漢方では、この生殖機能の成熟や生理・妊娠に関わる働きを、「腎精」や「天癸」、さらに「衝脈・任脈」などとの関係から考えます。
年齢とともに卵巣機能が変化していくことも、漢方では腎精の消耗=「腎虚」という観点から捉えることがあります。
「腎虚」には年齢が大きくかかわりますが、疲れやすさ、冷え、腰や膝のだるさ、睡眠、生理の状態などを合わせ、その方にどのような腎の不足があるのかを見極めていきます。
男性の妊活にも「腎」が関わります
女性だけでなく、男性の生殖機能についても腎が重要です。
男性の精子形成や生殖機能を考えるときにも、「腎精」が関係します。
精子濃度や運動率などの検査結果を確認しながら、疲労、睡眠、冷え、食欲、性機能なども合わせて見ていきます。
漢方相談では「検査結果を改善するために何を飲むか」という発想だけでなく、「生殖機能を担っている体の状態」に着目します。
「先天」と「後天」を合わせて考える
もう一つ重要なのが「先天」と「後天」の関係です。
生まれ持った生命の基礎が「先天」であるのに対し、生まれてからの食事や睡眠、生活、疲労などによって体を養っていくものが「後天」です。
腎精という先天の要素を考えながら、日々の生活によって体がどのように養われているのかも大切です。
食事が十分に摂れているか、胃腸が働いているか、睡眠によって回復できているか、仕事や育児による疲労はケアしているか。
妊娠には卵子と精子の双方が関わります
妊活を女性だけの課題として捉えず、男性もご自身の体を見直していくことが大切です。
女性には女性の体質があり、男性には男性の体質があり、同じ「妊娠したい」というご希望でも、必要な体づくりはお一人おひとり違います。
一陽館薬局では、女性の妊活相談だけでなく、男性の精子や体調についてもお話を伺い、それぞれの体質を知り、お二人の体づくりを一緒に考えていきます。
漢方薬・生薬認定薬剤師 樫谷陽子
妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。
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