卵子の質 ~殻が硬いとは~

成熟卵だったはずなのに、受精しませんでした。
“卵子の殻が硬いかもしれませんね”という説明を受け、次回は顕微授精を選択することになりました。
でも、それだけで大丈夫なのか不安です、とご相談いただきました。

たしかにご自身ではどうすることもできず、そもそもの”質”に課題があるなら、顕微授精でただ授精すれば解決するのか、その先までしっかり育つのか、心配されて来局されるのも理解できます。

採卵にチャレンジしても移植に辿り着けない、スタートラインに立てない状態が続くと、本来の目的までも変わってしまうこともあるかと思います。

「卵子の質が悪いと言われました」
「受精はするのに、胚盤胞まで育たない」
「顕微授精をしても受精障害が続いている」

卵子には「透明帯(とうめいたい)」という殻のような膜があります。
これは精子を受け入れるために必要な大切な構造ですが、何らかの理由でこの透明帯が硬くなってしまうと、精子がうまく入り込めず、受精しづらくなることがあります。

体外受精や顕微授精の際には、「卵子が硬い」「膜が厚い」と表現されることがありますが、年齢や卵巣機能低下を理由にされると、ただ採卵を繰り返していくしか方法がなくなってしまいます。

漢方では、卵子の質は「腎精(じんせい)」と深く関係すると考えます。
腎精とは、生殖力や成長力、老化に関わる生命エネルギーのことです。

腎精消耗の要因には、睡眠不足、慢性的な疲労、強いストレス、冷え、無理なダイエット、過度な糖質摂取などが挙げられます。

また、血流が悪くなる“瘀血(おけつ)”の状態では、卵巣へ十分な栄養や酸素が届きにくくなり、卵胞液の状態低下にもつながります。

実際に、
・採卵数はあるのに質が伴わない
・未熟卵が多い
・変性卵が続く
・顕微授精でも受精率が低い
・胚盤胞到達率が低い
などの場合にも、体の冷えや血流不良、自律神経の乱れが影響しているのかもしれません。

特に注意しておきたいのが、“慢性的な炎症状態”です。

胃腸疲労、睡眠の質の低下、歯周炎、強いストレス状態などが続くと、体の中では微細な炎症反応が続き、活性酸素が増えやすくなります。

活性酸素は卵子にとって大きな負担となり、卵子膜やミトコンドリア機能にも影響を与えると考えられています。

そのため、「卵子の質」を考える時には、単にサプリメントを増やすだけではなく、
・血流
・睡眠
・胃腸機能
・自律神経
・炎症状態
“卵巣や卵胞が十分に働ける身体の状態”を整えることが、とても大切になります。

漢方では、お一人ごとに体質や採卵状況、生理の様子などを丁寧に確認しながら、
補腎(ほじん)
活血(かっけつ)
理気(りき)
などを組み合わせ、卵胞が育つ環境を整えていきます。

「年齢だから仕方ない」と言われていても、身体の状態を見直すことで、採卵結果や胚の育ち方に変化がみられる方は実際にいらっしゃいます。

卵子は、毎日の生活や身体の状態の影響を受けながら育っていることも忘れてはならないでしょう。

もし今、
「なかなか結果につながらない」
「毎回同じことの繰り返しになっている」
と感じている方は、“卵子そのもの”だけではなく、卵子を育てる身体の環境にも目を向けてみてください。

一陽館薬局では、不妊治療の状況だけではなく、基礎体温や生理の状態、睡眠、胃腸の状態なども含めて、身体全体を確認しながらご相談をお受けしています。

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