不正出血と遺残卵胞~漢方的視点から~
残暑の頃になると目立つご相談に、「不正出血」と「遺残卵胞」があげられます。
「生理が終わったはずなのに、また出血している」
「生理の様子がいつもと違うと思ったら遺残卵胞があると言われた」
遺残卵胞とは、排卵後に卵胞が縮小せず、卵巣内に残って見える状態です。排卵後に黄体化した卵胞や、機能性卵巣嚢胞として確認される場合もあるようです。
一方、不正出血にはさまざまな原因があります。
排卵がうまく成立しなかった周期では、黄体から分泌されるプロゲステロンの作用が十分に得られず、子宮内膜が不安定になって予定外の出血につながることがあります。
子宮内膜ポリープや子宮筋腫、子宮頸部の病変、感染症、妊娠に関連する出血なども考えられるため、まず婦人科で出血の原因と卵巣の状態を確認することが大切です。
漢方では「なぜ血が出ているのか」を考えます
漢方では、不正出血につながる体の状態に着目します。
・血を適切な場所に保つ「気」の働きはどうか。
・血そのものが不足していないか。
・血の巡りに滞りがないか。
・生理と関わる「肝」「脾」「腎」のバランスはどうか。
不正出血と関連しそうな要素を探っていきます。
たとえば、
◎少量の出血が長く続き、疲れると出血しやすい、月経血量も少ない⇒気血の不足
◎出血の色が暗く、血塊を伴い、月経痛や下腹部の張りが強い⇒「瘀血」
◎ストレスが続き、生理周期が乱れたり、生理前の胸の張りやイライラが強くなったりする⇒「気滞」「肝鬱」
つまり、「不正出血」という同じ症状でも、漢方では身体の状態によって捉え方が変わります。
遺残卵胞を見るときも「周期全体」を見る
遺残卵胞が確認されたとき、漢方では卵巣だけの事象とせず、生理が始まり、卵胞が育ち、排卵を迎え、次の月経へ向かうという一連の周期が、その人の身体の中でどのように進んでいるのかを見ていきます。
漢方では、生殖機能との関係が深い「腎」、気血の巡りや生理と関係する「肝」、食事から気血を生み出す「脾胃」の働きを丁寧に捉えていきます。
「止血」だけを目的にしない考えも
不正出血があると、「まず出血を止めたい」という思いになりますが、妊活中の観点から考えるなら、出血が起きた要因まで含めて着目することが大切です。
夏の暑さと陰虚による巡りの滞りが、血虚と瘀血を招き、ホルモンバランスの乱れへとつながる。
気候に合わせた妊活を意識することで、焦りと不安は軽減されるのかもしれません。
漢方薬・生薬認定薬剤師 樫谷陽子
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