どれほど気を遣っても難しい垣根

「実は、数年前に精神的なバランスを崩しうつ病と診断を受けたことがあって・・・。
今思えば、夫婦間の気持ちのずれが大きかったのかもしれません」
とお話くださったお客さまがおられます。

漢方をご利用いただいていたものの、多忙な日々にご相談の機会もなく1年が経った頃、ようやくお話を伺うことができました。
明るくさっぱりしたお声ですが、時折、間があるのが少し気になっていました。
ある日のご相談をきっかけに、やるならちゃんとやってみよう!となり、月1回お話を伺うことになりました。

「主人の気持ちも分かるんです。でも、私の気持ちも分かってほしくて・・」
漢方相談では、ご主人との気持ちのすれ違いに悩む女性のお話を伺うことがあります。

責めたいわけではない
穏やかに、二人で協力して妊活を進めていきたくて、言葉を選び、相手の気持ちを考えながら話しかけるタイミングにも気を遣ってきた、と言われます。

それでも、どうしても越えられない垣根があるように感じてしまう時があるそうです。

自分は年齢や検査結果が気になり、次の周期をどう過ごすか、これからどう進めるかと考え続けている中で、ご主人は「そんなに焦らなくてもいいんじゃない?」と、落ち着いているように見えるのです。
わかっていても、通院し診察を受けるのは自分ばかり・・・
排卵日を告げるのも、人工授精の朝、協力を求めるのも大きなストレスだったと言われます。
その温度差が、女性の心を少しずつ疲れさせていったのではないでしょうか。

「言っても仕方がない」と口を閉じても、分かってほしい気持ちは心の中に残ったままです。
そして、ご主人を責めたくないのに、どうして私ばかりが頑張らなければならないのだろう、という思いが湧いてくるのです。
そんな自分にも嫌気がさして、また自分を責めてしまう。

同じ方向を向きたいのに、歩幅が合わない
早めに進みたい。でも、夫婦で納得して決めたい。
相手の気持ちを待っていたら時間が過ぎてしまうのではないか。
かといって、自分の希望を優先すれば、ご主人に無理をさせてしまうのではないか。

どちらを選んでも、心に引っかかりが残ります。

もちろん、ご主人にもご主人なりの不安や考えがあるでしょう。
でも女性と同じ形で身体の変化や通院の負担を経験するわけではないため、妊活への切迫感に違いが生まれることもあります。

大切なのは、どちらが正しいかを決めることではなく、互いが何を不安に感じ、何を大切にしたいのかを知ることです。
ただ、それが簡単にできれば、こんなに悩まないのかもしれないという日もありました。

今日をいい日の始まりに

心のバランスが保てなくなった時期を経て、「うつ病」でない日。
お客さまは、服薬の必要がなくなり、体にくっつていた錘が外れたように感じると言われました。
若干の不安はあるけれど、嬉しいと言われます。

気を遣うことと、分かり合うことは違うから
一陽館薬局では、治療を続ける中で生まれる不安や迷いについても、丁寧にお話を伺っています。
ご主人との気持ちのすれ違いに悩んでいるときも、まずはご自身の思いを整理するところから始めてみませんか。

漢方薬・生薬認定薬剤師 樫谷陽子

妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。

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