「婦人科三大トラブル」と漢方の相性

女性のからだに深く関わる婦人科疾患の中でも、特に多くの女性が悩む「三大トラブル(女性三大良性疾患)」をご存知でしょうか。

「子宮筋腫」「子宮内膜症」「子宮腺筋症」のこの3つは、月経痛や過多月経、そして不妊の原因ともなりやすく、日々の生活の質(QOL)を大きく左右する代表的な疾患です。

妊活中の方にとっても、これらの疾患は決して他人事ではありません。
今回はそれぞれの特徴と西洋医学的な治療の流れ、そして漢方との相性についてお伝えしたいと思います。

三大トラブルとは?それぞれの特徴
1. 子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)
子宮の筋肉にできる良性の腫瘍で、30代以上の女性に多くみられます。
●主な症状
強い月経痛、月経量の増加(過多月経)、貧血、腰痛、頻尿など。
●特徴
腫瘍ができる場所によって症状の出方が大きく異なります。
子宮の内側(粘膜下筋腫)にできると月経への影響が出やすく、筋肉の中(筋層内筋腫)や外側(漿膜下筋腫)では圧迫症状が出やすくなります。
●不妊との関係
筋腫の位置や大きさによっては、受精卵の着床を妨げたり、子宮内の環境を変化させることで着床不全や流産リスクを高めることがあります。
特に粘膜下筋腫は妊娠への影響が大きいとされています。

2. 子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)
本来は子宮の内側にしかないはずの組織が、卵巣や腹膜など子宮以外の場所で増殖・出血する病気です。
●主な症状
激しい月経痛、慢性的な骨盤痛、性交痛、排便痛など。
●特徴
卵巣にできると「チョコレート嚢胞」と呼ばれる袋状のこぶになり、放置すると破裂や周囲との癒着を引き起こすことがあります。
●不妊との関係
子宮内膜症は不妊女性の30〜50%にみられるとも言われています。
卵管周囲の癒着による卵子の通り道の障害、卵巣機能の低下、骨盤内の炎症による受精・着床への悪影響など、複数の経路で妊娠を難しくします。
妊活中に発覚するケースもあります。

3. 子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)
子宮内膜に似た組織が子宮の筋肉(筋層)の中で増殖し、子宮全体が硬く腫れて大きくなる病気です。
●主な症状
強い月経痛、過多月経、それに伴う強い貧血。
●特徴
30代後半〜40代以降に発症することが多く、月経のたびに痛みが強くなる傾向があります。
●不妊との関係
子宮が硬くなることで受精卵が着床しにくくなるほか、子宮の収縮異常が着床後の環境にも影響すると考えられています。子宮内膜症と合併することも多く、その場合は不妊へのリスクがさらに高まるとされています。

医学的な治療の目安
これらの疾患は自然治癒するものではなく、放置すると進行・悪化することがあります。

「生理の量が多い」「薬を飲んでも効かないほどの生理痛がある」といった場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
治療の方向性は、症状の程度と妊娠希望の有無によって異なります。

薬物療法:ホルモン剤や鎮痛剤などで症状をコントロールします。
ただし、ホルモン療法中は排卵が抑制されるため、妊娠希望がある場合は使用できない薬剤もあります。

手術療法:薬で改善しない場合や病巣が大きい場合は、腹腔鏡手術などが検討されます。
妊娠希望がある場合は、子宮を温存する形での手術が選択されます。

漢方から見た「三大トラブル」
漢方では、子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症はいずれも「瘀血(おけつ)」の状態と深く関わると考えられています。

瘀血とは、血液の流れが滞り、古い血が体内に溜まっている状態のことです。
月経痛や過多月経、腫瘍の形成なども、この血の巡りの悪さが根底にあると漢方では捉えます。

また、三大トラブルを抱える女性には以下のような体質が複合的に見られることが多いです。
●気滞(きたい)
ストレスや自律神経の乱れによって「気(エネルギー)」の流れが停滞した状態。PMS、月経前の胸の張り、イライラ、情緒不安定などが現れやすくなります。気の滞りは血の滞りにもつながるため、瘀血の下地になりやすいとされています。
●腎虚(じんきょ)
漢方でいう「腎」は生殖機能や女性ホルモンのバランスと密接に関わる概念です。腎の力が不足すると(腎虚)、ホルモンバランスの乱れや卵巣機能の低下を招きやすくなります。三大トラブルは腎虚を伴うケースが多く、特に妊活においてはこの視点が重要です。
●血虚(けっきょ)
過多月経が続くことで血(けつ)の不足が生じ、貧血や冷え、肌荒れ、疲れやすさなどが現れます。血虚は子宮内膜の育ちにも影響するため、着床環境の整備という点で妊活に直結します。

“漢方と不妊”〜どんな働きかけをする?〜
漢方が妊活に取り入れられる理由の一つは、病気そのものだけでなく、体全体の本質から整えるアプローチにあります。

西洋医学の治療と並行して漢方を活用することで、以下のような面での有用性が期待されます。
・瘀血を改善し、骨盤内の血流を促すことで子宮・卵巣の環境を整える
・気滞を解消してホルモンバランスを安定させる
・腎虚を補い、卵巣機能や卵子の質へのアプローチを助ける
・血虚を補って子宮内膜の状態を整え、着床環境を整える
・月経痛や過多月経などの随伴症状を和らげ、体への負担を減らす

漢方はあくまで個人の体質に合わせて選ぶことが大切で、疾患としては同じでも使う処方は人によって異なります。

子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症はいずれも、放置せず早めに対策をとることが大切です。
妊活中の方は特に、着床や妊娠継続に影響を与える可能性があることも知っておくべきでしょう。

気になる症状がある方は、まず婦人科で検査を受け、ご自身の状態を把握されることをおすすめします。

一陽館薬局では、一般的な情報提供をおこない、医療行為の代替としてではなく、別の側面から体調を整えるよう漢方で考えていきます。

まずはご相談ください。

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