AMHが低いってどういうこと? 〜妊娠への影響と漢方的アプローチ〜
妊活を始められた方には「AMH」について聞き覚えがある方も多いのではないでしょうか。
「AMH」は血液検査で測れるホルモンで、特に女性の卵巣予備能(卵子の残りの数)を示す指標として使われています。
私の漢方相談の際にもお尋ねすることがありますが、お客さまの中には「AMHが低いから急いで採卵しておかないと・・」と体外受精を急いだり、「妊娠の可能性が低いのでは・・」と不安になる方も少なくありません。
妊娠の可能性を数値化したようにも受けとめられる「AMH」についてさまざまな側面からご案内していきたいと思います。
AMHは卵巣内の小さな卵胞(原始卵胞〜前胞状卵胞)から分泌されるホルモンで、血液検査で測定できるもので、卵子の“在庫数”の目安になります。
つまり、AMHの値が高いほど卵巣の予備能が高く、低いほど卵子の在庫が少なくなっていると考えられます。
では「AMHが低い=妊娠できない」とご心配な方もいらっしゃると思いますが、AMHはあくまで“卵子の数”の指標であり、“質”を示すものではないことから「妊娠できるかどうか」を意味するものではありません。
AMHが低下する主な理由としては以下のようなものがあります。
・加齢:35歳を過ぎると卵胞数が急激に減少しAMH値も低下します。
・生まれつきの体質:卵子の数は胎児のときに決まっており、元々少ない方もおられます。
・卵巣の手術歴:子宮内膜症や嚢胞の手術後に卵巣機能が低下することがあります。
・抗がん剤や放射線治療:卵巣にダメージが加わり、急激なAMHの減少につながります。
その他、極端なストレス・ダイエットなどでホルモンバランスが乱れ、卵胞の発育に悪影響を及ぼすこともあります。
体外受精などの不妊治療では、AMHが治療方針の重要な判断材料になることもあります。
AMHが高い方は採卵できる卵胞数が多くなる傾向がありますが、必ず妊娠しやすいというわけではなく、AMHが1.0 ng/mL未満と低めであっても、質の良い卵子が育てば自然妊娠することもあります。
一陽館薬局のお客さまの体験動画では、AMH0.03からの妊娠(出産もされました)についてご紹介していますのでご覧いただきたいと思います。
AMH0.03からの妊娠
ちなみに、医学的には、(※年齢や胚の質、子宮環境によって左右されるため、あくまで目安です)AMH値と妊娠率の目安(体外受精の場合)として以下のようにされています。
AMH値(ng/mL)2.0以上での妊娠率の目安は約40〜50%、1.0〜2.0で約30〜40%、1.0未満だと約20〜30%
AMH値が低めの場合、一般的に不妊治療の対応としては排卵誘発剤(クロミッド、HMG注射)などによる卵胞の刺激や、早期に採卵数を確保し体外受精や顕微授精へ進むなど「今ある卵子をどう活かすか」に注力する短期決戦型のアプローチが主体となることが多いようです。
一方、漢方ではAMHの低下は「腎の衰え」という視点から、生殖力の源となる「腎」を補うことを基本に、卵子の発育に必要な栄養を届ける血流を改善して「卵子が育ちやすい環境」へと整えていきます。
ただし、卵子は単独で発育するものではなく、ストレスや睡眠不足などの生活環境の影響や「疲れやすい」「冷えやすい」「月経周期が乱れがち」など、個人の体質や生活習慣により左右されるものでもありますので、お一人おひとりの状況に応じて適切な漢方処方を組み合わせてカラダ全体のバランスを整えることも大切にします。
一陽館薬局では、AMH値は妊活を進める上での見通しを立てる“指標”のひとつだととらえます。数値の高い・低いよりも、元気な卵子が育ち、スムーズに排卵があり、生理が充実していたら妊娠は成立すると考えています。
そのためには、より個々人のご事情に合わせて、カウンセリングも含めオーダーメイドのご対応が必要になってきます。
卵子の数は余裕があるに越したことはありませんが、「数より質」が大切です。
数の多少よりも質を上げるための工夫をご提案しています。
※ブログで取り上げて欲しいテーマはInstagramDMまたは公式LINEメッセージにて受付中
◎陽子先生妊活Instagram
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