過量経血への対応と妊娠

結婚前から子宮内膜症と卵巣チョコレート嚢胞があり、生理痛もひどく過量経血(過多月経)のため、ピルで生理を止めていましたが、結婚を機に妊娠を考えピルの服用も終了しました。
ところが、ピルをやめたのに生理がなかなか回復せず、婦人科へ行くと無排卵と診断され、排卵誘発剤を用いて排卵を促すことを提案されました。
このまま排卵がないと妊娠できなくなってしまうのではないかと不安でたまりません・・

西洋医学では、排卵しづらいならば排卵誘発剤、生理があることが生活に支障をきたすならばホルモン剤で生理を止めることでトラブルは解消されるのかもしれませんが、漢方の視点から受けとめた場合はどのように方向を見定めていくのでしょうか。

まず、目先の問題点としては「無排卵」が挙げられますが、今の「無排卵」は過去の結果であり、どうして無排卵という状況になったのかという原因を解決しないと問題は続いてしまいます。
そしてその原因(好ましくない状況)を作ってしまった不具合を改善することが根本的解決に不可欠ととらえます。
根本的な解決とは、妊娠しづらい状態から妊娠(無事に出産)できたという結果にたどり着くことを指します。

ところで、月経血の量は多くても少なくても”問題あり”です。
過多月経は、生理の出血量が通常よりも多くなる状態を指します。
正常な生理では、1回の月経でおよそ20~140mlの血液が排出されますが、それを大幅に超える場合、日常生活に支障をきたすこともあります。過量経血の原因として、医学的な観点からは、子宮筋腫や子宮内膜症、ホルモンバランスの乱れ、血液凝固異常などが関与するとされています。

子宮筋腫は、子宮の筋層に発生する良性の腫瘍で、特に粘膜下筋腫と呼ばれるタイプは、子宮内膜の表面積を増やして出血量を増加させたり、子宮の収縮を妨げて血液の排出をスムーズにできなくしたりすることで、過量経血を引き起こします。
一方、子宮内膜症では、本来子宮内にのみ存在するはずの子宮内膜組織が子宮の外にも広がる病気であり、異常な内膜組織も月経周期に合わせて増殖・剥離を繰り返すため、出血量が多くなります。
また、ホルモンバランスの乱れも過量経血の大きな要因です。
特にエストロゲンが過剰になると子宮内膜が厚くなり、月経時に剥がれる組織が増えるため、出血量が多くなります。
さらに、血液の凝固異常や血小板の機能異常など、血液の止まりにくさが関与することもあります。
そのほか、炎症や癒着によって子宮の正常な機能が損なわれることも過量経血の要因となります。

今回のケースを漢方的な視点で、今起きている状況(結果)からさかのぼってみると、「無排卵」=卵巣機能の問題→「無排卵となる原因」=ピルによるホルモンバランスの崩れ→「ピルが必要になる原因」=子宮内膜症
となります。
つまり、そもそも子宮内膜症や卵巣チョコレート嚢胞ができる体質が根本にあり、子宮内膜症の悪化に伴い経血量が増えてしまい、過量経血を回避するために敢えてホルモンバランスを不自然な状態にすることが必要となってしまった、その結果、生理を止めている期間は支障なく過ごせたものの眠らせていた卵巣の働きをスムーズに取り戻すことができなくなってしまったと理解できます。
卵巣チョコレート嚢胞も卵胞の発育を妨害する要因になります。

ですから、今回の無排卵に対する漢方での対応としては、子宮内膜症や子宮筋腫につながる根本的体質の改善を急ぐことが排卵にも妊娠にも大切になことです。
漢方の視点から見ると、主に「瘀血」「気虚」「血熱」などの体質が関与していると考えられます。
中でも「瘀血(おけつ)」は基本となる要因です。
瘀血とは、血の巡りが滞っている状態を指し、子宮内に古い血(ドロドロした暗赤色の血液)が留まることで経血の量や塊が増えることがあります。
生理痛や下腹部の冷えをともなうことも多いです。

また「気虚(ききょ)」の状態では、体を巡るエネルギーである「気」の力が不足し、血をコントロール(血液循環を促進)する力が弱まります。
その結果、血管がもろくなり、血が外に漏れやすくなります。
特に、疲れやすい、息切れしやすい、食欲不振、むくみやすいといった症状を伴うことが多く、出血がだらだらと長引く(生理の期間が長い)傾向があります。

さらに「血熱(けつねつ)」の状態では、体の中に熱がこもり(炎症があるような状態)、血液の巡りが活発になりすぎるため、過剰な出血が起こります。
体内に余分な熱がこもる原因は、ストレスや辛い食べ物の摂取、長期間の睡眠不足などがあげられますが、血が熱によって押し出され、出血量の増大につながるのです。
血熱タイプの人は、顔が赤くなりやすい、喉が渇きやすい、イライラしやすいといった特徴がみられます。

苦痛を伴ったり、日常生活に支障が及ぶほどの不調が起きる生理は、何らかのトラブルを抱えている可能性が高いこと、生理が来るたびに繰り返されたり、だんだんひどくなっていく場合は、早めに対策を始められることをおすすめします。

一陽館薬局では、婦人科系トラブルを伴う方の体質改善を兼ねた体づくりもしっかりサポートしています。
妊活のスタートは生理を整えることです。
より好ましい環境で妊娠を迎えていただき、トラブルなくお元気に出産を目ざせるよう、お一人おひとりに必要な漢方をご案内し、定期的にカウンセリングと適切なアドバイスを重ねながら寄り添っています。

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