若年層の低AMH
20代後半から30歳前後あたりで、検査を受けると、極端に「AMH値が低い」というかたがおられますね。
AMH値は ”卵巣機能の余力” とか ”卵巣に残存する卵子の数の指標” などといわれ、低いということは、この先排卵を迎える卵子の数が少なくなっているという意味です。
AMH値が低いと、一般的に、クリニックではできるだけ早く体外受精をして少しでも早く妊娠するか、採卵して卵子を凍結して保存するかという選択に迫られます。
AMH値が低いことで、体の状態として妊娠しにくいとか、卵子の質が良くないとか、漠然と妊娠できない可能性が高いと混同されるかもしれませんが、落ち着いて区別して状況を整理することも大切かと思います。
卵子の質は、数の多少よりも「ひとつひとつの卵子を元気にすること」によって、高めることもできます。
妊娠するかどうかという点についても、卵子だけで妊娠が決まるわけではなく、子宮の状態が大きく関わることですから、AMH値と直接結びつけられることでもありません。
ご自身に必要な対策を取ることが大切なのです。
卵巣嚢腫などで手術を受けるなど、卵巣の働きが制限されるのも否めない場合もありますが、
特に医学的な原因がない場合は、漢方的には生殖力を支配する「腎」の力が低下(不足)していると考えられます。
「腎」の力=「腎精」が不足に至る原因としては、 ”生まれつき” 以外には、 ”消耗” が挙げられます。
生殖力が充実していく時期(10代後半~20歳代なかば頃)に、生理が不順になったり止まってしまったりするほど激しい運動をして体力を限界以上に酷使したり、無理なダイエットや食事制限で栄養不足になったり、夜勤や不規則など腎精補充には最も必要とされる「睡眠」がきちんととれていなかったりすると、生命を生み出すエネルギー源が養われず、自身の生命力を消費(浪費)してしまうことになります。
卵子は新たに産生されることがないので、AMHも増えることはないといわれますが、漢方では、不足している腎精を補い高めることにより、AMH値が若干持ち直すこともあります。
つまり、数が増えたわけではなくても、卵子が元気になればAMHは少し回復する現象も見られます。
それでも、極端に少ないという状況に変わりはありませんから、丁寧に卵巣の働きを補うことが大切です。
慎重でありながらも、急がなくてはならないのです。
AMHが低いと卵子や卵巣に気が向きますが、着床に向けて子宮の状態を整える事を忘れてはなりません。
着床環境の目安は、生理です。
少なくとも、生理痛がなく、経血量が多すぎず少なすぎず、生理に不調を伴うことがない、などは確認しておきたいことです。
どれほど良質の卵子でも、しっかり受精しても、子宮の状態が着床に相応しくないと、妊娠は成立しません。
また、日々の積み重ねにより体質もつくられることから、生理の改善には、数ヶ月単位での時間を要します。
ですから、着床に向けた体づくりは、できるだけ早く始めるほうが、結果的に妊娠実現もスムーズになります。
優位に「妊活」を進めるには、着床への体質改善で後手に回らないことが大切だと思います。
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