花粉症と不妊~共通する体質を改善~
今年の春は激しい寒暖差に抵抗力も弱ったところに、花粉の飛散量が多く、加えて大量の黄砂の影響もあり、アレルギー症状や体調を崩されたかたもいらっしゃると思います。
今回は花粉症と不妊には共通する要因があることをご存じでしょうか?
漢方の視点から、体質改善のポイントをご紹介します。
一見、直接的な関係はないように思われるかもしれませんし、花粉症だと不妊症になるわけでもありません。
ですが、積極的に妊娠を望んでおられるなら、注意してみていただきたい点があります。
花粉症は、花粉に対する過剰な免疫反応によって起こりますが、不妊にも免疫の働きが関係することがあり、特に着床障害や原因不明不妊のケースでは、免疫バランスの乱れが影響しているものがあります。
花粉症体質と不妊体質の関連で注目したいものとして、
◎「気虚」タイプ(=エネルギー不足)
・疲れやすい、風邪をひきやすい
・冷え性で手足が冷たい
・食が細く、胃腸が弱い
このタイプは、気(=エネルギー)の不足により、免疫が過剰に反応しやすくなり、花粉症が悪化しやすくなります。
同時に、排卵や高温期維持などにかかわる子宮や卵巣のエネルギー不足により妊娠しにくい状態になることもあります。
◎「腎虚」タイプ(=生殖機能・ホルモンの弱り)
・腰や膝がだるい、冷える
・白髪や抜け毛が多い
・生理不順や月経量が少ない
このタイプは、根本的な生命力の源を担う「腎」の力が弱いため、卵子や精子の質に影響し妊娠の確率の低下につながります。
また、免疫力の低下により、花粉症の悪化を招くことも考えられます。
◎「湿熱」タイプ(=体に余分な熱と湿気がこもる)
・鼻づまりや粘り気のある鼻水が多い
・ニキビや吹き出物ができやすい
・おりものが多く、ベタつく
このタイプは炎症を悪化させる要因である「湿熱」が体内にこもりやすく、花粉症の症状がひどくなります。
子宮内膜においても炎症傾向から子宮環境が悪化し、着床しづらくなることも考えられます。
特に、花粉症は、漢方では「気虚」という体質が特徴的です。
「気虚」とは、体を維持するエネルギー=「気」が不足し、体を守る力が弱くなっている状態を指します。
妊娠初期に医学的な原因が見つからず、染色体異常とも関係なく流産を繰り返す方は、「気虚」の体質が影響している可能性も考えられます。
「気虚」体質の方は、着床や妊娠を維持するために必要な「気」が不足しやすく、妊娠の継続が難しくなることがあります。
具体的に以下のような傾向は思い当たりませんか?
・季節の変わり目に体調を崩しやすい
・温度変化に弱い
・多汗で疲れやすい
・胃腸が弱く、下痢や軟便になりやすい
長く続く寒暖差の影響で「気虚」に傾くと、皮膚や粘膜の抵抗力が落ち、異物に対して過剰に反応しやすくなるため、花粉症の症状が悪化しやすくなります。
その結果、免疫バランスの乱れから風邪やインフルエンザにもかかりやすくなり、体力がさらに低下する悪循環に陥ることも見受けられます。
漢方では「補気薬」と呼ばれる漢方薬を用いることで、体にエネルギーを補給し、妊娠の維持力を高めることができます。
この考え方は、流産予防にも通じます。
妊娠が判明した後、「花粉症の薬を飲んでも大丈夫?」と不安に思われる方も多いと思います。
妊娠とともに迎える春は、今までとは違った過ごし方が求められます。
花粉症の時期に薬を手放せない方は、妊娠+授乳期間の赤ちゃんへの薬の影響も考え、妊娠前からの体質改善の意識が重要です。
妊娠を希望される場合は、妊娠中に使用可能な漢方や体質改善の方法を早めに取り入れ、花粉症のシーズンを少しでも快適に安定した体調で過ごせるよう準備することをおすすめします。
花粉症と不妊、どちらも「体質の乱れ」が根本にあります。
共通するバランスの乱れを改善すれば、花粉症も和らぎ、妊娠しやすい体づくりにもつながります。
一陽館薬局では、花粉症やその他の体調不良にも、お一人おひとりに合わせて適切な漢方をご案内します。
アレルギー症状は生活習慣とのかかわりも強いことから、食事内容の見直しやストレス対策を取り入れるだけでも症状が軽減する可能性もありますので、カウンセリングを通じて、ぜひ ”妊娠総合力” アップをめざしましょう。
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