精子力アップ〜男性不妊と漢方〜
不妊治療というと女性が主体となりがちですが、実際には不妊症カップルの約半数に男性側の要因が関係しているといわれます。
日本泌尿器科学会のデータによれば、”男性要因が関与する割合は約40〜50%”に及ぶとされています。
自分は大丈夫だろう、と思う反面、内心はもしかしたら?という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
近年の国際的なメタ分析によると、世界的に精子濃度は過去40年間でおよそ50%低下しているとの報告もあり、これには年齢だけでなく、ストレス、生活習慣、環境ホルモンなどの複合的要因も関わっていると分析されていることもあり、そう簡単なテーマではなさそうですが、ここでは身近な「精子力アップ」という視点からご案内したいと思います。
不妊治療がうまくいかない、妊娠率が上がらない要因として、男性不妊が関わっていることは想定されても画期的な打開策も確立されておらず、まだまだ本格的なケアに踏み出す方の割合は多いとは言えません。
女性に「卵子の老化」があるように、男性にも加齢に伴う精子の質の低下が見られます。
一般的に、35歳を超えると精子の濃度・運動率・DNA損傷率が悪化すると報告されており、医学的には特に40歳以上になると、自然妊娠率や子どもの健康リスクにも影響が及ぶ可能性が指摘されています。
男性不妊にはどのような原因があるのでしょうか。
・精子の数が少ない(乏精子症)
・精子の運動率が低い(精子無力症)
・精子の形態異常(奇形精子症)
・通り道の障害(閉塞性障害)
・ホルモンバランス異常
・精索静脈瘤
・ストレス、生活習慣の影響 など
精子は卵子と違って”新しく作られる”とはいえ、その「生産工場」である本体が弱っていれば、精子の数も質も低下してしまいます。
精子はご自身の分身のような存在とも言えるでしょう。
このような観点から、うまく利用すれば男性不妊の改善にも漢方は有用性が期待できるのです。
漢方では、男性不妊を体全体のバランスの乱れと捉えアプローチします。
◎「腎」を補う(腎精を養う)
漢方では「腎」が生殖力を司るとされ、腎の弱り(=腎虚)に傾くと、精子をつくる力の低下によって、精子数減少や質の劣化に直結すると考えます。
加齢や疲労、過度な性生活、ストレスによって腎精は消耗されるため、精子の力の低下につながります。
◎血流を整える(瘀血を改善)
精索静脈瘤は医学的治療の対象となりますが、体質面では瘀血傾向によって局所の血流障害が起こり精子形成を妨げると考えます。
体全体の血流改善は、精子への栄養供給をスムーズにするために大切です。
◎気を巡らせ、ストレスを軽減する
精神的ストレスはホルモン分泌の乱れを生じ、精子形成にも好ましくない影響を及ぼします。
気の巡りを良くし、リラックスさせる漢方処方が効果的です。
精子は”都度新生される”という性質から、その時どきのコンディションが精子の状態にも直結してきます。
そういった点からも、体質や心身のバランスを整える漢方薬と同時に、生活習慣の改善も重要であり効果も期待できるものです。
※禁煙・節酒
※適度な運動(特に筋トレ)
※栄養バランスの取れた食事(亜鉛、ビタミンC、D、Eなど)
※睡眠の質向上
※適切な体重管理(BMI 20〜24程度が理想)
神経質になり過ぎず、少しずつでもできることから始めてみると、疲れにくくなったり精神面も安定して、より健康になれるという点でもメリットが大きいといえます。
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