精子が元気になる漢方的アプローチ
「精子が元気になるためにはどうすればいいですか?」というご相談が最近多くなったと感じます。
男性目線からも女性目線からも「精子力低下の現状と対策」は現代の妊活の一大テーマといえるかもしれません。
男性の場合、女性の不妊相談に比べ、いくつか異なるポイントがあります。
まず考え方や精神面についてです。
(※私の個人的な印象です)
精液検査を受けた際には、数値に左右されやすい傾向が強く、特に想定より結果がよくない場合の気落ちは大きい傾向があると思います。
このような性質を踏まえた上で、考え方に合った展開を検討する必要があります。
ご自身が積極的に検査を受けられるなら問題ないですが、意欲的でないとそのストレス自体も検査結果に影響しますし、結果の受けとめ方も後々まで引きずってしまうこともあります。
”元気な精子”までの過程をまとめてみます。
精子は精巣内の「精細管」で作られますが、1つの精子が成熟するまでには約74日(約2.5ヶ月)かかります。
その後、精巣上体でさらに約10~14日間成熟し、射精できる状態になります。
つまり、精子が完全に作られ、射精されるまでに約3ヶ月かかるということです。
このため、生活習慣を改善したり、漢方などで体質改善を考える場合は、基本的に精子の状態が変わるまでの期間として3ヶ月はしっかり取り組むべきなのです。
精子の寿命は環境によって異なります。
男性の体内(精巣内)では数週間生存しますが、古くなった精子は自然に吸収され、新しい精子と入れ替わります。
また、女性の体内(子宮・卵管内)では、精子が膣内に入ると、通常は2~3日程度生存します。
ただし、排卵期の子宮頸管粘液が多い時期は、最長5~7日生きることもあります。
射精後は、空気に触れるとすぐに乾燥し、数分~数十分で死滅し、水中では少し長く生存する可能性がありますが、受精能力はほぼ失われることが知られています。
近年、ますます世界的にも「精子の質の低下」が指摘されるようになり、特に日本では、生活習慣の変化や環境要因が大きく影響していると考えられますが具体的にはどのようなことが関係しているのでしょうか。
精子の状態を悪化させる要因と対策
①ストレス:長時間労働など過度の疲労や精神的ストレスは自律神経の乱れにつながり、ホルモンバランスが崩れると「精子の質の低下」を誘発します。
特に精神面でのストレスは漢方で「気虚」や「気滞」という巡らせるエネルギーの不足や滞りを引き起こし、血流低下や運動率低下の要因となることが考えられます。
ストレスを溜めないといっても難しいかもしれませんが、まずは睡眠をしっかりとる(7時間以上が理想)こと、趣味やリラックスできる時間を大切にするなど身近なことから調整してみましょう。
②食生活の乱れ:インスタント食品、加工食品、添加物など手が届きやすいところに便利な食品があり摂取する機会が増え、栄養が偏りがちです。
特に抗酸化作用のあるビタミン・ミネラルの不足は精子の質にも影響するため注意したいものです。
③ 運動不足:血流の低下は、精巣の機能にも影響を与えることはわかっていても”運動のための時間を確保して・・”となるとなかなか行動に移せない方も多いと思います。
日常生活の中で特に下半身の血流を良くすることを意識してストレッチなどを習慣にすることで血行の良い状態を保つようにしましょう。
血流の滞りは漢方で「瘀血」といって「不妊の根幹」ともいえます。
精子や卵子の発育も停滞しがちになりますので、早めの体質改善がおすすめです。
その他、 肥満、喫煙・過度の飲酒なども要注意です。
また、精巣は熱に弱く、温度が高いと精子の生成が低下するため、サウナや長時間の熱いお風呂などには気をつけましょう。
漢方では、生殖の源となる「腎」の働きが精子の質と関係しているとらえます。
「腎」の働きを高めることで、精子力の向上が期待できます。
精力は、身体面と精神面との調和がポイントになります。
一陽館薬局では、豊富な実績をもとに個々人の体質に合わせて漢方をご提案しますので、ご夫婦でのご相談もおすすめです。
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