着床前診断と流産率と出産に至る率
先日、発表されました「着床前スクリーニング」についての中間報告では、流産率を低下させる可能性があるとの見解がある一方で、出産に至る率は変わらない可能性も示されました。
卵子の老化や染色体異常などを医学的にどれくらいカバーできるのかは、大きなテーマなのだと思いますが、私たちの立場は少し違うのかもしれません。
ご夫婦や妊娠をめざす女性の願いは、「赤ちゃんが欲しい」ということ。
出産して赤ちゃんに出会うには、まず妊娠することが先決で、そのためには妊娠に必要な条件を整えることが大切です。
そういう見方について、漢方は全体論からアプローチしています。
身体が元気で、気力の充実があってこそ、内臓機能も活発で、そういう素地があってこそ卵巣も元気になって子宮の血液循環も良くなるということが基本にあります。
「良質な卵子のためには、まずはカラダから」「精子の元気は、カラダの元気が反映される」というわけです。
ストレスや疲れをため込んだ状態から生み出されるものは、やはり、それ相応のものということ・・というのは妊娠に限ったことではなく、生活の中でも、他の目的においても、思い当たることがあるかもしれません。
ですから、漢方では、妊娠までも、そして妊娠維持と出産に至るまでの体質改善を目的に、さらには産後の肥立ちやお子さまの成長発育まで助けていくことも含んでいるのです。
漢方なら「あれもこれも効く」のような印象になるかもしれませんが、それは、漢方の臓腑(五臓六腑)の機能が、各臓器としての機能に加えて、派生する精神面や自律神経を含めたバランス調整という役割も担っているため、当該臓腑の働きが安定すると、心の調子や気血水のバランスまで様々な不調に対応することができるのです。
たとえば、子宮の血行改善を目的に漢方薬を服用したところ、生理痛も冷え性も肩こりも腰痛も、だるさやイライラも便秘も不眠も改善した・・ということが起きるのは当然のことなのです。
いくつもの異常や不足に悩んでいるかた、逆に原因がないのに結果が出なくておこまりのかた、身体も心も生活や仕事や夫婦関係もまるごとの自分から見てみるのもよいかもしれませんね。
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