妊活で大切な「フェリチン」と”隠れ貧血”に漢方でできること
『フェリチン』は、体内に蓄えられている鉄の量を反映する指標で、「鉄の貯金」とも呼ばれます。
今回は、ご相談の中でもよくある不調の要因の一つである「フェリチン」について取り上げてみたいと思います。
「血液検査では貧血ではないはず」なのに、詳しくお話を伺うと、
・疲れやすい
・朝から体が重い
・冷えが強い
・動悸や息切れを感じやすい
・抜け毛が増えた
・経血量が以前より減った
という不調を抱えている方がおられます。
このような場合に確認していただきたい検査項目の一つが「フェリチン」です。
ヘモグロビンが正常でもフェリチンが低い状態、いわゆる「鉄欠乏(隠れ鉄欠乏)」がみられることがあります。
フェリチンとは?
フェリチンは、体内で鉄を貯蔵するタンパク質です。
血液中のフェリチン値は、体内に蓄えられた鉄の量を推定する目安として用いられています。
一方、健康診断で一般的に測定されるヘモグロビンは、現在赤血球の中で使われている鉄の状態を反映しています。
そのため、
“ヘモグロビンは正常でも、フェリチンだけが低い”という状態が起こります。
この段階では貧血と診断されなくても、体内の鉄が不足し始めている可能性があります。
鉄は妊娠に向けた体づくりに欠かせない栄養素
鉄は酸素を運ぶ栄養素であるほか、
体内では、
エネルギー産生
DNA合成
細胞分裂
酸素利用
多くの酵素反応
に関わっており、妊娠を目指す女性では、卵胞の発育や子宮内膜の成熟、妊娠後の胎児や胎盤の発育にも十分な鉄が必要になります。
また妊娠中は鉄の必要量が大きく増加するため、妊娠前から鉄を蓄えておくことが大切です。
ただし、フェリチン値だけで妊娠しやすさや卵子の質を直接評価できるわけではなく、妊活では、全身の栄養状態を確認する一つの指標として考えることが重要です。
フェリチンが低いと現れやすい症状
疲れやすい
冷えやすい
めまい
息切れ
動悸
集中しにくい
爪が割れやすい
抜け毛が増える
など鉄欠乏の症状がみられることがあります。
しかし、これらは鉄不足以外でも起こるため、症状だけで判断することはできませんから、気になる場合は一度、医療機関で適切な検査を受けておかれるとよいと思います。
漢方では「血虚」と考えることがあります
漢方では、このような状態を「血虚(けっきょ)」として捉えることがあります。
血虚とは、西洋医学でいう貧血そのものを意味する言葉とは少し異なります。
「血」が不足し、全身を十分に滋養できない状態を表す漢方独自の概念です。
「血虚」では、
月経量が少ない
顔色が白い
肌や髪が乾燥しやすい
疲れやすい
めまいがある
などの特徴がみられ、西洋医学の鉄欠乏と重なる部分もありますが、意味合いとしては同じ概念ではありません。
漢方でできること
漢方での対応としては、鉄不足が起こりやすい体質や、妊娠しやすい体づくりを総合的に整えることによって、結果的に「フェリチンの数値が上がる」ことを目指します。
養血(ようけつ)
養血とは、血を養い、体を十分に滋養する考え方です。
子宮や卵巣を含め、全身へ必要な栄養を届けられる状態を目指します。
血虚がみられる方では、
月経周期
月経量
冷え
睡眠
疲労感
なども参考にしながら処方を組み立てます。
補血(ほけつ)
補血とは、血を補う考えです。
血虚がある方では、補血作用をもつ生薬を用いることがあります。
また、胃腸の働きが弱い方では、消化吸収を整える処方を組み合わせることもあります。
漢方は、鉄剤に頼るのではなく体質に応じて補完する役割を担います。
補腎(ほじん)
漢方でいう「腎」は、腎臓そのものだけではなく、
成長
発育
生殖
加齢
に関わる働きを指し、妊活では重要な概念の一つです。
また漢方には「精血同源(せいけつどうげん)」という考えがあります。
「精」と「血」は互いに支え合うという理論で、血虚が改善すると精も養われ、腎精が充実すると血を生み出す働きも支えられると考えられています。
そのため妊活では、血虚だけでなく腎の状態も合わせて考え、体質に応じて補腎を組み合わせて取り入れることがあります。
フェリチンだけでは分からない体質があります
同じフェリチン値でも、
胃腸の働き
月経の状態
睡眠
冷え
ストレス
年齢による体力の低下
などはお一人おひとり異なります。
そのため、数値だけではなく、全身の状態を確認しながら体質に合わせた工夫が大切です。
まとめ
フェリチンは、妊娠に向けた体づくりを考える上で参考になる大切な検査項目です。
一方で、フェリチンだけで妊娠しやすさを判断することはできません。
食事や生活習慣、必要に応じた医療機関での治療、そして体質に合わせた漢方治療を組み合わせることで、妊娠に向けた健康な体づくりを進めることができます。
一陽館薬局では、月経の状態や冷え、睡眠、胃腸の働きなども丁寧に確認し、お一人おひとりの体質に合わせた漢方をご提案しています。
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漢方薬・生薬認定薬剤師 樫谷陽子
【子宝薬局と不妊相談の一陽館薬局】
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