妊娠力に問題あり?なし?~体質から見た「不正出血」~
「生理以外の時期に出血がある」「排卵期のあたりで少量の出血をともなう」など、生理周期とは関係のない出血、いわゆる「不正出血」に不安を感じたことはありませんか?
不正出血は一時的な体の変化によるものから、婦人科系の病気が背景にあるものまで、原因はさまざまですが、何らかの「バランスの崩れ」を表していることも多いようです。
今回は、不正出血の原因と、それが不妊とどう関係しているのかについて検討してみたいと思います。
いわゆる「不正出血」の主な原因として、一般的によく聞かれる状態を挙げます。
◎ホルモンバランスの乱れ
ストレスや睡眠不足、過労、急激なダイエットなどによって、女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)のバランスが乱れ、子宮内膜が安定せずに出血することがあります。
排卵がうまく起こらない「無排卵性周期」にも見られます。
◎排卵出血
排卵時に一時的にエストロゲンが低下することで、子宮内膜がわずかに剥がれ、少量の出血が起こることがあります。
1〜2日で自然におさまり、基本的には心配のない出血とされますが、頻繁に起きる場合は注意しましょう。
◎子宮や卵巣の疾患
・子宮筋腫
・子宮内膜症
・子宮頸管ポリープ
・子宮体がん・子宮頸がん
などの病変が出血の原因となっていることもあります。
特に閉経後や性交後の出血がある場合は要注意です。
◎感染症・炎症
クラミジアや淋菌感染症、子宮頸管炎などの炎症も不正出血を引き起こします。
これらは進行すると卵管閉塞などを引き起こし、不妊のリスクになるため要注意です。
不正出血だけで不妊のリスクになるとは言えませんが、ホルモンバランスの乱れや、子宮・卵巣の異常が関係している場合には、不妊の要因となる場合があります。
たとえば、無排卵や黄体機能不全(排卵後に十分なプロゲステロンが分泌されない状態)は、妊娠の成立と維持を妨げます。
また、子宮内膜症やクラミジア感染による卵管癒着は、受精や着床に支障をきたします。
漢方では、不正出血は「経外の出血」と呼ばれ、女性の身体にある「血」「腎」「肝」のバランスの乱れが関係していると考えます。
◎腎虚タイプ=生命エネルギー不足
「腎」は生殖を司る臓で、加齢・慢性疲労・過労・冷えなどで弱くなると、排卵力や着床力が低下し、不正出血や月経異常なとが起こりやすくなります。
◎肝鬱タイプ=ストレスによる気血の停滞
イライラや抑うつ、月経前の胸の張りなどがあるタイプです。
肝は血を蓄え、生理リズムを整える役割をもちます。
ストレスで肝の働きが悪くなると、排卵障害や不正出血を招く要因となります。
◎瘀血タイプ=血の巡りが悪く滞っている
経血に塊が多い、痛みが強い、舌が紫っぽいなどが特徴で、不正出血も断続的で、妊娠に必要な“子宮環境”が整いにくい状況と考えられます。
◎気虚タイプ=エネルギー不足で血をコントロールできない
→食が細い、疲れやすい、軟便ぎみな人に多いタイプで、脾=胃腸の働きが弱り、出血を止める力が不足すると、だらだらとした不正出血や着床不全が起こりやすくなります。
特に不妊治療では、採卵や着床のためにホルモン剤を投与するため、不自然なホルモンバランスになってしまうことかトラブルの要因となるリスクもあるのではないでしょうか。
漢方は、単なる症状の“対症療法”ではなく、体質改善によって妊娠しやすい体へ整えることを目的としています。
不妊治療で偏りが生じたホルモンバランスを整えるような生薬を使い分けることで、生理周期の安定をサポートし、排卵・着床の力を養います。
体質面からは瘀血・冷えの改善により血流を改善し、子宮内膜をふかふかに整えるにも効果的に作用します。
ストレス過多の日々において、精神安定・自律神経の調整はとても大切なことで、イライラ、不安、緊張などメンタル面からのサポートにより、妊娠を迎える態勢を整えます。
「不正出血」そのものは負担に感じるほどでなくても、「ホルモンの乱れ」「血のめぐりの異常」「妊娠力の低下」のサインとしてご自身の体調に向き合うことが大切ではないでしょうか。
一陽館薬局では、不正出血に対しても“止める”だけではなく、“なぜ出るのか”を見極め、おひとりお一人の体質に合ったケアを漢方でご案内してまいります。
放っておかずに早めに対処されることが健康な妊娠への足掛かりにもなると思います。
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