夕方からのほてり・のぼせはなぜ? 妊活と陰虚の関係

真夏とは少し違う空気を感じるようになり、夕方になると過ごしやすくなってきましたが、この頃になると、「日中は平気なのに、夕方から夜にかけて身体の内側が熱く感じる」「寝つきが悪く、夜中にも何度も目がさめる」というご相談があります。

暑さが残っているからだと思っていても、毎日のように夕方からほてりを感じ、布団に入ると熱が気になって、眠りに入りにくいと言われます。

こうした夕方から夜にかけてのほてり・のぼせは、「体に熱がこもっている」だけではなく、漢方では、体を滋養し潤す「陰」が不足した「陰虚」という状態ととらえます。

夕方からのほてりを「陰虚」
漢方でいう「陰」は、体を滋養する津液や精、血などを含み、体を潤し、「陽」の働きを抑制する役割を担います。

陰陽が調和しているときは、体の活動と休息、温める働きと冷ます働きのバランスが保たれていますが、陰が不足すると、相対的に陽の亢進につながり、「虚熱」という体に熱がこもるような状態につながります。

特に夕方から夜にかけてほてりやのぼせが強くなる場合は、漢方では陰虚ととらえます。
口や喉の乾燥、寝汗、手足のほてり、皮膚の乾燥などの具体的な症状を伴うこともあります。

妊活では「腎陰虚」という見方がポイント
妊活中の陰虚は、漢方では「腎」の働きに注意します。

腎は、精を蔵し、成長・発育や生殖に関わるとされる臓腑ですが、長期間の妊活や度重なる治療、ホルモン治療、睡眠不足、慢性的な疲労などによって体への負担が続くと、腎陰が不足する「腎陰虚」へと傾きます。

腎陰虚では、夕方からのほてりやのぼせだけでなく、五心煩熱、盗汗、口乾、腰膝酸軟などがみられることがあります。

このような実感もある中で、いくら妊活中だからといって一律に「体を温めればよい」と無理しないことも大切です。
陰虚による虚熱がある場合には、温補を重ねることで、かえってほてりや乾燥といった辛い症状が悪化することもあります。

初秋から冬へ、「養う」方向へ
漢方の養生では、季節と体の関係を大切にします。

秋は「収」、冬は「蔵」の季節とされます。

夏のように外へ向かって活動する時期から、少しずつ内側へ収め、冬にかけて精気を蓄える方向へ整えていく時期です。

初秋は、その切り替わりの時期です。
夏の疲れをそのまま持ち越さず、これから迎える秋冬に向けて体を養っていくことが大切になります。

妊娠を目指していると、排卵日や採卵、移植など「次に何をするか」を基準にして過ごすことが多くなります。

しかし、体を養うには、何かを加えることと同じくらい、消耗を抑えて蓄えることも大切です。

食事から精微を受け取り、脾胃をいたわり、睡眠を確保して、過労を避ける。

こうして陰血や精を養っていくことは、秋から冬へ向かう自然の流れにもかなっています。

正しく「温める」だけではない妊活の養生
妊活では「冷えは大敵」と考え、身体を温めることを意識される方もいらっしゃると思います。

もちろん冷えへの配慮は大切ですが、夕方からほてりがある場合は慎重に考えてとは限りません。
漢方では、陰陽の偏りを見ながら、必要であれば滋陰、養血、清虚熱などの考え方を取り入れます。

また、陰血を養うには脾胃の働きも重要です。食事から得た水穀の精微を気血へと化生する脾胃が弱っていれば、体を養う材料そのものが不足しやすくなります。

一陽館薬局では、ほてりやのぼせをヒントに生理、睡眠、疲労、食欲、ストレスなどを丁寧に伺い、お一人おひとりに合った漢方と養生をご提案しています。

漢方薬・生薬認定薬剤師 樫谷陽子

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