夏の基礎体温の乱れに対する漢方的みかた
私たち漢方薬局へご相談いただきますと、基礎体温表体質を知るための大切な情報として拝見しています。
夏の基礎体温は、暑さや発汗、冷房、睡眠の質の低下などが重なり、特徴的な変化が現れやすい季節です。
今回は、妊活相談で実際によく目にする基礎体温のパターンを、漢方的な考え方とともにご紹介したいと思います。
① 高温期へ移行しても体温の上昇がゆるやか
本来は排卵後数日以内に体温が上昇し、高温期へ移行しますが、夏になってからは、「高温期になったのか分かりにくい」 「体温が少しずつしか上がらない」という方がおられます。
このようなケースでは、暑さによる体力の消耗や胃腸機能の低下が関係していることがあります。
漢方では、気虚や脾気虚を考えることが多く、十分な「気」を生み出せているかを確認します。
食欲の低下や疲れやすさを伴う方では、この傾向がさらに強くみられます。
② 高温期がギザギザして安定しない
高温期に入っても、36.90℃ 36.55℃ 36.85℃ 36.60℃・・・というように上下を繰り返すパターンも見受けられます。
もちろん、測定時間や睡眠時間の影響を受けることもありますし、毎周期同じような変動が続く場合は、体質も考慮していきます。
夏は冷房による冷えと屋外の暑さを何度も繰り返します。
さらに仕事や家庭でストレスが続くと、自律神経への負担も大きくなります。
このようなタイプでは、漢方では気滞や気虚を想定することがあります。
③ 高温期が短くなる
夏になると、高温期がいつもより短く感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もちろん、一周期だけで判断することはありませんが、数周期続く場合は、黄体機能だけでなく、体力の低下や胃腸機能まで見直すことが大切になります。
漢方では、気血を十分に補う力が低下すると、高温期にも影響すると考えます。
特に夏バテ気味で体重が減った方や食事量が減少した場合に、よく見られます。
④ 高温期の体温は高いのに、のぼせや寝汗が強い
高温期は、体温が高めになる時期ですが、それに加えて、
・夜になると体が熱い ・寝汗をかく ・口が渇く ・足の裏がほてる
などの症状が重なる場合は、漢方では陰虚を考えます。
40代の妊活では比較的陰虚傾向になることがありますが、暑さの厳しい夏は症状が目立ちやすくなります。
基礎体温表だけで漢方薬は決まりません
大切なのは、基礎体温が似たような動きでも原因は一つとは限らないということです。
例えば、
高温期が短い方でも、
気虚が中心の方
腎虚が背景にある方
気滞が長く続いている方
瘀血によって巡りが低下している方
など、選ぶ漢方薬はまったく異なります。
基礎体温表は大切な情報の一つとしたうえで、月経の状態、経血の色や量、睡眠、便通、冷え、汗のかき方、舌の状態、お腹の状態まで確認し、総合的に体質をみていきます。
一陽館薬局では、基礎体温表を「体質を知る資料」として活用しています
妊活相談では、「高温期が何日続いたか」ということもチェックポイントですが、さらに、
どのタイミングで体温が上昇するのか。
上下の幅はどうか。
ある季節だけに特徴的な変化か、一年を通して同じ傾向なのか。
といった細かな変化を読み取り、現在の体質と照らし合わせながら漢方薬を選択しています。
まとめ
夏は、基礎体温に変化が現れやすい季節です。
暑さによる体力の消耗、胃腸機能の低下、睡眠不足、ストレスなどが重なることで、基礎体温にも特徴的な変化がみられます。
漢方では、その変化を「気虚」「気滞」「陰虚」「瘀血」「腎虚」などの体質と照らし合わせながら、一人ひとりに合った治療方針を考えます。
基礎体温は、排卵を確認するためだけの記録ではなく、
体からの情報が詰まった”カルテ”として活用することで、妊娠へ向けた体づくりのヒントが見えてきます。
漢方薬・生薬認定薬剤師 樫谷陽子
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【子宝薬局と不妊相談の一陽館薬局】
奈良市大宮町6-9-2
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