侮れない!貧血と妊娠
貧血に慣れてしまって生活している方は意外に多いのではないでしょうか。
立ちくらみ、体の冷え、頭痛、不眠、生理不順など、原因がよくわからないまま”こんなものかな”と思ってやり過ごしている方もお見受けします。
女性は生理による定期的な出血により貧血傾向になりやすく、20~40代の日本人女性の約65%が鉄欠乏性貧血で、「かくれ貧血」(=自覚症状のない検査値上の貧血)も見られます。
貧血は体の酸素不足にを引き起こし、そのサインとして動悸、息切れ、倦怠感、抜け毛、爪の異常などさまざまな症状が起こります。
言うまでもなく、血液は私たち自身の体を生かすために必要な物質であり、さらには赤ちゃんの発育にも必須です。
ですから「良質な血液」を「十分足りる量」確保することが不可欠です。
医学的には、貧血とは、血液中のヘモグロビン(Hb)の濃度が基準値より低下した状態を指します。
ヘモグロビンは赤血球の主要成分であり、酸素を全身に運ぶ役割を担っており、貧血の原因の約7割は鉄欠乏による「鉄欠乏性貧血」です。
【貧血の診断基準(日本人間ドック学会 2021)】
女性:ヘモグロビン(Hb)12.0 g/dL未満
男性:ヘモグロビン(Hb)13.0 g/dL未満
貧血が妊娠を妨げるのはどうしてでしょうか。
◎排卵障害のリスク増加
鉄は卵巣の働きを助け、排卵を正常に維持する役割があり、鉄欠乏が進むと、排卵が不規則になったり無排卵になる可能性があります。
アメリカの研究データ(ナースヘルススタディ)では、鉄不足の女性は排卵障害による不妊リスクが 1.6倍 高いという報告があります。
◎子宮内膜の質の低下
鉄は子宮内膜の血流を改善し、受精卵が着床しやすい環境を作る重要な栄養素であるため、鉄不足により、子宮内膜が十分に厚くならず、着床しにくくなる ことが示唆されています。
鉄不足の女性は、子宮内膜の厚さが正常な女性に比べて20%低下する傾向があると報告されています(日本産科婦人科学会 2020)。
◎妊娠初期の流産リスクの増加
貧血があると、胎児への酸素供給が不足し、妊娠維持が難しくなる可能性があります。
特に妊娠初期の鉄不足により、流産リスクが約1.5倍に上昇するこという報告もあります。
漢方では、血が(濃度としても量的にも)足りない状態を「血虚」といいます。
血を生み出す力を高めて全体量を増やすことをポイントに、五臓の「腎」「肝」「脾」のはたらきを補う「補血薬」が効果的です。
漢方の「腎」には西洋医学の「腎臓」の機能(膀胱や尿など)のほか、成長・発育・生殖・内分泌系など生命維持に必要なものを生み出すはたらきがあり、「脾」(=胃腸)のはたらきにより食事から消化吸収された栄養分をもとにつくられます。
一陽館薬局では、お一人おひとりに合った体づくりをご提案します。
妊娠成功のカギは”バランス”にあります。
さまざまな側面からバランスのとれた環境に整えましょう!
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