不妊原因になりうる体質〜瘀血と着床〜
検査では異常がなくても、ご自身の体調を振り返ったとき直感的になんとなく ”こういうところが関係しているのではないか・・” と思い当たるかたもいらっしゃると思います。
生理や生理周期にまつわる不調だけでなく、日常生活でも慢性的な不調に慣れてしまって「不妊の要因」を積み上げていることに気づかずに過ごされているのではないでしょうか。
原因不明の不妊症や、基本検査で問題なく、一歩進んだ検査で異常(トラブル)が見つかる多くの場合に漢方でいう「瘀血」が根底にあるものが多く、瘀血とは”為人”を表すともいえるものといえます。
着床は、受精卵が子宮内膜に根を下ろし、しっかりととどまるプロセスで、妊娠成立の最初の”結果”といえます。
着床が不安定だとその後につながる妊娠の経過にも支障が出やすくなることも考えられます。
「瘀血」とは、老廃物を含み劣化した“ドロドロの血”が体内に溜まり血流が滞っている状態で、子宮の瘀血は着床のしやすさに大きく影響します。
西洋医学で言う「血行不良」とは異なり、単に血の量や流れるスピードの問題だけでなく、質の劣化や、局所的な滞留も含む、より広い概念です。
瘀血があると、子宮や卵巣などの生殖器系にもその影響が及び、着床環境の悪化につながることから一陽館薬局では「体づくりの最優先課題」に位置付けています。
漢方では、瘀血にも3タイプあり、それぞれの原因とアプローチが必要だと考え詳しくご様子をうかがっていきます。
◎冷えが原因となって生じる瘀血では、特に下腹部や下半身の冷えが強く、月経血に塊が多かったり、冷えると月経痛がひどくなったりする特徴がみられます。
子宮の冷えは血管が収縮し、内膜の血流が悪化することにより着床が難しくなると考えられます。
一陽館薬局では、子宮を温めながら血流を促すことを念頭において、内側から“温かく柔らかい土壌”へ整えていきます。
◎“気の巡り”が悪くなることによって、血の巡りも滞ります。
ストレスや感情の抑圧、仕事や人間関係の緊張など、精神的な負荷が影響することが多く、PMSや月経痛が強い、ため息が多い、胸やお腹の張りが出やすいなどが特徴的です。
自律神経に影響しホルモンバランスが乱れ、排卵が不規則になったり、子宮内膜の血流も不安定になったりすることが考えられます。
このタイプには、まずは気の巡りを整えることを念頭に置きながら瘀血の改善をめざします。
◎血そのものが不足していると流れも弱く滞りを生じてしまいます。
顔色が悪い、唇の血色が白い、疲れやすい、月経量が少ないなどの特徴かみられます。
このタイプでは、子宮内膜をふかふかに育てるための“材料”がそもそも不足しているため、着床しても受精卵を支える力が弱く、妊娠の継続が難しくなることもありますので、補血作用と活血作用を兼ねた処方で体を根本から養い、血を充実させながら巡らせていくことが大切です。
一陽館薬局の子宝相談では、妊活中の方に対して、まず瘀血の有無とそのタイプを丁寧に見極めることから始めています。
瘀血のサインは、月経血の状態(月経血の色が黒っぽい、塊が多い、出血の期間が短いなど)や月経痛の強さ、体の冷えや疲労感など、日常の中にさまざまな形で現れます。
漢方の視点では、「血を巡らせること」は妊娠のための“土台づくり”です。
ふかふかで温かく、血流の良い子宮を整えることで、受精卵が自然に根付きたくなる環境をつくることをめざします。
瘀血は、一朝一夕に解消されるものではありませんが、体質に合わせた養生と漢方薬を用いることで、少しずつ“血の巡りのよいからだ”へと体質を改善していくことができます。
着床しにくいと感じている方、妊娠までの道のりに不安を感じている方は、一度ご自身の「瘀血体質」について見直してみることをおすすめします。
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