ステップアップしただけなのに
直近の採卵は、刺激方法を変えて4回臨みましたが、育たず採卵できませんでした。卵巣機能を上げることはできますか?
とのお客さま。
この4回の採卵以前にもすでに移植は4回、1回目の移植の際に陽性判定が出たものの胎嚢確認に至らず自然流産、それ以降陽性判定はありません。
そもそも、なぜ体外受精をすることになったのですか?と質問すると、逆にどうしてそんなことを聞くのか理解できないというご様子です。
私は、最初にこの質問をすることがよくあります。
女性に不妊原因なし、精液所見問題なし、夫婦仲も良好
と3拍子そろっているのに、どうして体外受精を選択されたかを知りたいのです。
AMHが低いから?年齢的に余裕がないから?不妊治療なら妊娠確率が上がるから?
と、こちらの3大理由も残念ながらNGです。
現時点で妊娠されていない訳ですから。
さて、お客さまの回答は「タイミング療法から人工授精を経てステップアップしたから」とのことです。
つまり、お客さま自身の状態は、不妊治療を始める前の「なかなか妊娠できないと感じていた時」と変わっていないといえます。
さらに整理するなら、不妊治療前には毎回周期的に起きていた排卵が、今は誘発刺激にも反応しないほど弱っているようにも感じられ、ステップアップという言葉とは逆の方向へ進んでいるかのように見えます。
希望を見据えた不妊治療のはずが、非効率の波に翻弄されている場合は、漠然とした期待感をリセットし、しっかりとご自身の大切な生理周期を回復しましょう。
どちらへ向いて進むかを決めるのは今です。
まずは、不妊治療でのダメージを補い排卵、生理を取り戻すこと、そのうえで卵巣の元気を養う補腎薬と着床環境を整える駆瘀血薬でプラス方向へ体質改善を進めでいきます。
漢方は最後の砦ではなく、始めの一歩。
「藁にもすがる思い」にまで追い込まれる前に、しっかりとご自身の意志で本質をつかんでいただきたいと思います。
一陽館薬局の不妊相談は25年。
体質改善のためのオリジナル処方「桃福宝」も発売から10年以上にわたり高評をいただいています。
赤ちゃんが授かりものと言われるように、お客さまとのご縁はタイミングときっかけだと思います。
漢方相談には不妊治療ほどの勇気は必要としません。お客さまの“少しの勇気“をお待ちしております。
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