その経血からとらえる妊娠力
生理は毎月きちんと来ていても、排卵もしていても、なぜ妊娠しないのでしょうか。
生理が来ていることだけを見れば「順調」と感じても、経血の状態まで注目すると、これまで気づかなかった情報が見えることがあります。
妊活相談で「以前と比べて、経血の量はいかがですか?」と伺うと、「そういえば、若い頃よりかなり少なくなりました」と言われることがありますが、多くの方が「年のせいだから」と付け加えられます。
でも、妊活では「年のせい」といってやり過ごすことができない事もあるのです。
以前は5日ほどあった生理が、最近は2~3日で終わる。
経血量も明らかに減っている。
あるいは、生理痛が以前より強くなった、血の塊が出るようになり、色も暗褐色。
妊活では排卵日や基礎体温、AMHなどを意識されることが多くなると思いますが、漢方では、毎月の生理と経血の状態も、今の体調を知る大切なポイントになります。
経血量が減ってきた=「血虚」
漢方では、妊娠を考えるうえで「血」の充実を重視します。
漢方でいう「血(けつ)」は、現代医学でいう血液そのものということに加え、心身を滋養し、各組織の働きを保つための栄養的な要素を含んでおり、経血量の減少により疲れやすい、顔色がすぐれない、肌や髪が乾燥しやすい等を伴うことも多くなります。
この場合は、「血が足りないから血を補う」という対策が主体となりますが、なぜ血が不足してくるのかを考えることが漢方の特徴です。
食欲が落ちている、胃腸が弱っている、食事をしても疲れが取れにくいという場合は、食べたものから気血をつくる「脾胃=おなか」の働きも見直します。
睡眠不足や慢性的な疲労が続いている場合には、気血の消耗が関係していることもあります。
血の塊や強い生理痛=「瘀血」
経血に血の塊が混じる、生理痛が強い、経血の色が暗いといった場合は、漢方では「瘀血」=血の巡りが滞った状態と表します。
毎回の生理に血の塊混じって出る、月経痛や冷え、肩こりなどの状態を合わせて全体から判断します。
また、強い月経痛や経血量の異常には、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫など婦人科疾患が関係する場合があります。
気になる症状が続くときには、婦人科での確認も大切です。
漢方では、医学的な検査と同じ意味で瘀血を捉えるのではなく、お体の状態を考えるための一つの指標として扱います。
「経血量」だけでなく、以前との違いを見る
経血について考えるとき、現在の量だけを見るのではなく、「自分にとって以前と何が違うのか」を振り返ることが重要です。
以前は5日ほど続いていた生理が短くなってきた。経血量が減った。生理痛が強くなった。血の塊が増えた。
このような変化に気づいたとき、その要因としてどのようなことが考えられるかが大切です。
妊娠・出産・授乳を経験した方であれば、その後の疲労や睡眠不足が影響していることもありますし、仕事や育児で休息が十分に取れない時期には、気血の消耗が重なっていることもあります。
一陽館薬局では、現在の体調とこれまでの経過を丁寧に伺い、その方に合った漢方による体づくりを一緒に考えています。
経血をきっかけに、今の身体を一度見直してみるというのも妊活の一つの始め方ですね。
漢方薬・生薬認定薬剤師 樫谷陽子
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