「リキみ」は大敵!
スポーツでも、高い技能を持った人でも、意気込みが空回りして、フライングしたり、力んで実力が発揮できずに終わってしまう様子をみることがありますね。
健康保険で不妊治療が受けられるようになり、チャレンジする方も多いようですが、メリットもあれば、期待通りにいかないという声も聞かれます。
今回が保険で受けられる最終回となるお客さま。
漢方薬も最大限の準備をして、体調も万全で臨まれました。
これまで毎回の採卵では、卵子のグレードは悪くないのですが、精子の正常形態率が低く、受精しても移植できるまで育つことはありませんでした。
過去の体外受精では、いつも卵子の老化や卵巣機能の低下などを理由に挙げられることばかりで、ご本人様も女性側に要因があると思い込んでおられましたが、私はカウンセリングで異なる見解をご案内しました。
顕微授精だから、1つの良好な精子があればOK、って言い切ってよいのでしょうか?
たしかに、理論的には正解かもしれません。
ですが、精子全体のバワーアップができれば、平均値が上がれば、“1つの精子”の質もグレードアップするのではないかと思うのです。
今回は、思い切って漢方を積極的に利用して男性力をしっかり補った結果、正常形態率は、先々月の3倍に上昇しました。
懸案事項だった精子の質がグッと上がったのは良かったのですが、大問題なのは、採卵です。
前回まで順調に採卵できていたところに、今回は保険診療最終回だからといって、排卵誘発の薬を倍に増やして臨まれたというのです。
結果は、卵子の発育は弱く、辛うじて未成熟卵が1つ獲得されたものの、受精には至りませんでした。
確率の問題でめぐり合わせがたまたま悪かったのかもしれませんし、何が影響するかもわかりませんが、あえて薬剤を増やしたことも“前回までとは違うこと”のひとつです。
せっかくの保険診療も、有効活用できないのなら意味がありません。
大切な“1回” “1個”をくれぐれも丁寧に扱っていただきたいと願うばかりです。
信じて任せる心に成果で応えで欲しいと思います。
ですが、後ろを向いても始まりません。
仕切り直して、1歩を前に進めます。
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