AMHが低くなる、本当の理由

AMHの数値を知らされショックを受けている、とご相談いただくことがあります。
「検査で卵巣年齢は更年期手前だと言われました」と話してくださったのは、31歳のMさん。
婦人科では特に異常はなく、「体質でしょう」と説明されたそうです。

AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣に残っている原始卵胞の数を反映するホルモンです。
加齢とともに下がっていくのは自然なことですが、年齢に不釣り合いなほど低い値が出ることがあります。

なぜ、若いうちからAMHが低くなるのでしょうか。

医学的に原因として知られているものをいくつか挙げてみます。
ひとつは、子宮内膜症です。
特にチョコレート嚢胞(卵巣内膜症)がある場合、炎症や酸化ストレスが卵巣組織にダメージを与え、卵胞数の減少につながることがわかっています。
嚢胞が大きくなるほど、また罹患期間が長いほど、その影響は大きくなる傾向があります。

次に、卵巣嚢腫の手術です。
嚢腫を摘出する際に、周囲の正常な卵巣組織が一緒に失われることがあります。
特にチョコレート嚢胞の摘出手術後にAMHが大きく下がるケースは、婦人科領域でも広く認識されています。
手術を繰り返すほどリスクは高まります。

さらにもうひとつは、ピルの長期服用です。
ピルの服用中はAMHが一時的に低く出ることが知られており、服用を止めると値が回復するとの認識も多いです。
ただし、長期服用の影響については個人差があり、服用歴のある方はその点も踏まえて数値を解釈する必要があります。

そのほか、生まれつき卵胞数が少ない体質や、自己免疫的な卵胞の消耗なども原因として挙げられますが、婦人科的な異常が見当たらないにもかかわらずAMHが低い方も、実際にはたくさんおられます。

「原因不明」と言われたとき、どうすればよいのでしょうか。
大至急、体外受精を受けることを選択されるのが既定路線ですが、AMHが低い状態そのものへの対策とは違います。

AMHが低い方に共通して見られる”体の傾向”について、漢方的な見解を挙げますので、体づくりのヒントにしていただければと思います。

まず、「腎(じん)」の消耗です。
漢方では、卵巣の機能は「腎」と深く関わっています。
腎は生命エネルギーの根源を蓄える臓であり、その力は生まれ持った素地だけでなく、日々の暮らしの積み重ねによっても変化します。
睡眠が浅い、慢性的な疲労がある、冷えがとれない、などの状態が長年続くと、腎の力は貯蓄より消耗が大きくなっていきます。
「特別な不調はないけれど、なんとなくずっとしんどい」という感覚を持つ方に、この傾向がよく見られます。

次に、「血(けつ)」の不足です。
卵を育てるためには、卵巣への十分な栄養が必要です。
漢方でいう「血」は、全身を潤し滋養する働き全般を指します。
生理の量が少ない、肌や髪が乾燥しやすい、食が細い、目が疲れやすいなどは、漢方では血が不足しやすい体質にあることが多く、卵巣への栄養も届きにくくなっていると考えます。
子宮内膜症や卵巣嚢腫のある方は、漢方では「瘀血(おけつ)」=血の流れが滞り、よどんだ状態、として捉えることが多いです。
血が滞ると卵巣への栄養供給が妨げられ、卵胞環境にも影響すると考えます。
手術を受けられた場合でも、残った卵巣の力を最大限に引き出すために、血の巡りを整えることは再発予防のためにも大切なことです。

そして、精神面のアップダウンに影響を受ける「気(き)の滞り」も見逃せない要素です。
AMHの数値を知ってから焦りが増した、治療のプレッシャーで気持ちが常に張り詰めている、といったストレスにより気が滞ると血の流れも悪くなり、ホルモン分泌にも影響が出ます。
気・血・水は互いに連動しているため、精神的な緊張が体の機能全体に波及すると漢方では考えます。
今回ご相談いただいたMさんの場合も、詳しくお話を伺うと、長年にわたる睡眠の浅さ、食事の乱れ、強い冷え体質がありました。
月経量も20代からずっと少なかったといいます。
AMHの数値は「今の結果」ですが、その要因には長年の体の状態が積み重なっていた可能性があります。

AMHが低いことで、「もう卵がない」という気持ちに振り回されず、今ある卵、これから育とうとする卵子が育ちやすい環境を漢方で整えること、そして卵の数よりも「質」に目を向けることが、前向きな一手になります。

数値に焦るより、今の体に何が足りていないかを丁寧に見ていくことがAMHが低いと言われたときの、本当の出発点だと思います。
不安な気持ちを抱えている方、まずゆっくりお話しください。
体の状態を整えるところから、一緒に考えていきましょう。

妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。

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