高温期が続かない理由~黄体機能不全と漢方~
基礎体温表は、医学的には”参考程度”という位置づけかもしれませんが、漢方では、排卵の有無だけでなく、ホルモンバランスや子宮の状態までも反映されるものとして、“体からの声” を読み取る大切な情報源と認識しています。
なかでも、排卵後の「高温期」が思うように続かない、体温の上がり方が鈍い、という場合は、“黄体機能不全”ではないかとご相談を受けることがあります。
黄体機能とは、排卵後に形成される黄体が分泌するプロゲステロン(黄体ホルモン)の働きにより、受精卵の着床とその維持に必要な子宮内環境を整えるはたらきです。
この黄体ホルモンが十分に分泌されなければ、ふわふわの子宮内膜は作られず、着床しにくくなるばかりか、着床してもその後のホルモン的なはたらきが不足し、妊娠が継続しにくくなってしまいます。
医学的には、以下のような兆候が “黄体機能の不十分さ” を示唆するとされ、黄体ホルモン製剤の補充、hCGによる黄体刺激などが検討されます。
・高温期が10日未満
・黄体期の血中プロゲステロン(P4)が10ng/ml未満
・子宮内膜の厚みが8mm未満
・高温期の途中で体温が急落
・高温期と低温期の体温差が0.3℃未満
漢方ではこの黄体機能の低下を、単なる「ホルモン不足」とは異なる視点からとらえ、生殖・成長・発育をつかさどる根本的な生命エネルギーの貯蔵庫であり、妊娠力の根本に関わる「腎」の機能として受けとめ、「補腎薬」の作用により黄体機能そのものの回復を目指します。
腎のはたらきが弱いと、卵胞の成熟から排卵後の黄体形成にいたる一連の流れがうまくいかず、基礎体温は全体的に低めに推移し、高温期が短く不安定になる傾向がみられます。
「排卵はあるのに妊娠しない」「内膜がいつも薄い」「高温期の体温が不安定」といった状態が続く場合は、“腎の衰え”によりホルモン分泌にも不足が生じているのかもしれません。
一陽館薬局では、「補腎」の考えをもとに、血を補う「補血薬」、瘀血を改善して巡りを整える「駆瘀血薬」などをお一人おひとりの状態に応じてご提示して、妊娠しやすい体づくりを土台からサポートすることが可能です。
思うようにうまくいかないとお悩みのかた、ホルモンバランスがご心配な方はご相談ください。
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