食べ方が、妊娠力を変える
「何を食べれば妊娠できますか?」
相談にいらっしゃる方から、よくこの質問をいただきます。
結論からすると、「食べれば妊娠できるもの」は存在しません。
でも、食べ方を変えることで、妊娠しやすい体になっていくのは本当かもしれません。
今回は、妊活における「食養生」の考え方をお伝えしたいと思います。
体は、食べたものでできている
当たり前のようで、つい意識が薄くなりやすいというお声もあります。
生まれて初めての食事から、体づくりは始まっています。
今の私たちの体は、今まで食べてきたものの積み重ねです。
卵子の質も、子宮の環境も、ホルモンバランスも、すべて「今の体の状態」がベースにあります。
だから、食生活を整えることは、妊娠力を高める最も基本的な取り組みのひとつなのです。
漢方から見た「食べる力」〜脾(ひ)〜
漢方では、食べ物の消化・吸収を担う臓腑を「脾(ひ)」と呼びます。
胃腸の働きに相当するものです。
どんなに良いものを食べても、脾の力が弱ければ体に取り込む過程でのロスが大きくなってしまいます。
胃腸が弱いということは、いわば「穴の開いたバケツ」に水を注いでいるような状態なのです。
こういった「脾虚(ひきょ)」体質の方には、漢方薬で吸収効率そのものを高めながら、食事内容の工夫を重ねていくことが大切です。
妊活中の食事で、特に意識してほしいこと
① 冷たいものを控える
漢方では「体の冷え」を非常に重くとらえます。
飲食物は、直接内臓に届くものです。
冷たい飲み物やアイスなどは、内臓を冷やし、骨盤内の血流の悪化につながります。
とくに下腹部や腰に冷えを感じる方、生理痛や生理の重だるさがある方は要注意です。
キンキンに冷えきった飲み物を、ひんやり感じる程度にするだけでも、涼しさを感じながら体の内側から変わっていきます。
② 肉と緑黄色野菜を不足させない
妊活中の方の食事を伺うと、タンパク質と鉄分が不足しているケースが多く見られます。
漢方でいう「血(けつ)」は、卵子に栄養を届け、子宮内膜を育てる血液の質と量を意味し、食事の内容に大きく左右されます。
お肉を控えすぎていませんか?
野菜は色の濃いものを食べていますか?
ダイエット中の方も、妊活期間中は「栄養を届けること」を優先させてください。
③ 甘いものの摂りすぎに注意
砂糖の過剰摂取は、ホルモンバランスの乱れや血糖値の急激な変動につながります。
疲れるとつい甘いものに手が伸びる……という方は、まずは、ストレスや睡眠不足について少し見直してみましょう。
④ よく噛んで食べる
これだけで、脾の負担が大きく減ります。
咀嚼は消化の第一歩です。
早食いの方は、まずよく噛むことから意識してみてください。
心身のリラックスにもつながります。
「血」をつくる食養生が、卵子の質を変える
卵子は、ある日突然できるものではありません。
約6ヶ月もかかって排卵を迎えます。
その間、栄養を届け続ける「血」の質と量が、卵子の充実度に直結します。
漢方では、血が不足した状態を「血虚(けっきょ)」、血の流れが滞った状態を「瘀血(おけつ)」と呼びます。
血虚の方は、経血量が少なかったり、顔色が優れなかったりする様子がみられます。
瘀血の方は、生理痛や経血に塊があるなどの症状が出やすいです。
食養生で血をしっかりつくり、漢方で体全体の循環を整えることが大切です。
この組み合わせが、妊活の体づくりの基本となります。
食事は「薬」ではないけれど、体をつくる原点
特効食材を探すよりも、毎日の食事を少しずつ整えることのほうが、はるかに大切といえます。
何十年もかけてつくられてきた体の癖は、1ヶ月で劇的に変わるわけではありません。
でも、続けることで必ず変化は起きます。
漢方薬はその変化を加速させるためのサポートです。
一陽館薬局では、食養生のアドバイスも含めて、お一人おひとりの体質に合わせたご提案をしています。
「何から変えればいいかわからない」という方も、ぜひ一度ご相談ください。
妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。




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