補うだけでは半分〜漢方の補瀉の原則〜

「こんなにサプリメントを飲んでいるのに、実感が得られない!」
効率のよくない妊活になっていませんか?

思うようにならないことで
「これでも妊娠できない・・」
「まだ足りない・・」
と、もっと何かできることがないかと悩まれた挙句ご相談にみえる方もおられます。

漢方だけでなく、食事でも運動でもサプリメントでも、場合によってはストレスなども、考え方や行動にも通じる原則が、漢方の基本となる考え 「補瀉(=ほしゃ)」という考えです。

「補瀉」は、東洋医学の古典『黄帝内経』にも繰り返し登場する基本概念で、人の身体状態は「不足」と「余剰」の二つの側面から成り立っているという考え方に基づいています。

つまり、“不足しているものを補い、余計なものを取り除く“。
このバランスを誤ると、どんなに良い漢方薬でも十分に効果を発揮することができません。
どんなに魅力的な食事でも満腹の上に食べても食べきれないし、美味しさに対する感動も減ってしまうのと同じことです。

“良いから“といって、どんどん注ぎ込んでも、器がいっぱいになってしまうと、それ以上は、あふれるしかないのです。

漢方的に“補”が必要な体質は「虚」(=不足)にあたる状態が挙げられます。
● 気の不足(=気虚)
疲れやすい、息切れ、だるさ、やる気の低下などがみられ、排卵・着床・ホルモン分泌を支えるエネルギー(=気)が弱っている状態です。

● 血の不足(=血虚)
月経量が少ない、経血の色が淡い、めまい、乾燥、眠りの浅さなどがみられ、卵胞の成熟・子宮内膜形成に直結する「栄養」が不足しているといえます。

● 腎の不足(=腎虚)
卵巣機能の低下、AMHの低値、冷え、老化スピードの加速などがみられ、生殖力の根源となる「腎精」が弱っている状態です。

これらの不足を補うことで、「持久力」「回復力」「維持力」などが高まることが期待できます。

「補」に対して「瀉」は、「取り除く」「流す」「解放する」働きを意味します。
妊娠しづらい状態には、“余っているもの””多すぎるもの”が意外と見受けられます。
● 熱の余剰(=実熱・虚熱)
のぼせ、イライラ、ほてり、睡眠の質の低下、月経前の情緒不安定などが目立ちます。
炎症性の熱は、卵の質の低下やホルモンバランスの乱れにもつながる傾向がみられます。

● 湿の停滞(=湿・痰湿)
むくみ、体重増加、冷えとだるさの同時出現、胃もたれ、便がスッキリしないなど体内に水をため込んでいます。
湿は巡りを鈍らせ、骨盤内の血流にも影響します。

● 気の滞り(=気滞)
ストレス、胸のつかえ、月経前の痛み、呼吸が浅くなるなど情緒不安定にも関係します。
自律神経に乱れを生じ、ホルモンバランスの不安定さの要因となりやすい状態です。

これらの“滞り“を取り除くと、心身は軽やかさを取り戻し、“補ったものが正しく使われる状態”になってきます。

注意点としては、補いすぎても、瀉しすぎても、身体はアンバランスになるということです。

●補いすぎの場合
・むくみが増える
・胃腸が重くなる
・疲れが抜けない
「足し算ばかりでは、かえって巡りが鈍る」という矛盾が生じます。

●瀉しすぎの場合
・体力の低下
・冷えの悪化
・気分の落ち込み
“余分を落とす”ことに気を取られすぎ、必要なものまで削いでしまうのです。

妊娠力が最大限に発揮されるには、補と瀉が適切なタイミング・適切な量で働くことが大切です。

漢方では、体質・症状・生活・年齢・ストレス状態などをもとに、補が必要か、瀉が先かを慎重に見極めます。

この見極めが妊活の効率を大きく左右していくのです。

補瀉のバランスが安定していると、体調にも好ましい変化がみられます。
・朝のだるさが軽くなる
・冷えが緩む
・気持ちに張りつめた感じが減る
・月経周期が徐々に整う
・排卵期の状態が安定する
・内膜の質や厚みに変化が出る
・睡眠の深さが増す

こうした「改善の積み重ね」が、妊娠の成立の力となって直結します。

長年、全国からの妊活相談を受けてきて痛感するのは、妊娠に至る道は一人として同じではない ということです。

同じ「冷え性」でも、補うべき冷えなのか、瀉すべき湿の冷えなのかで、対応は真逆になるのです。

同じ「生理痛」でも、血の不足が原因なのか、気滞なのか、瘀血なのかでは、選ぶ漢方が変わります。

一陽館薬局では、
・舌の状態
・脈
・月経の質
・睡眠
・心の張りつめ具合
・生活環境療歴
など、総合的に判断しながら、補と瀉の比率を組み立てています。

足すべきか手放すべきか、どちらか一方だけでは傾いてしまいます。
そして、まずは余剰なものを取り除くことで、必要とするものを受け入れるスペースが生まれます。

窮屈になり過ぎないことも効率のよい体づくりのコツですね。

妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。

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