精子の質を整える〜“妊娠力“を高める〜
妊活の現場では、どうしても「卵子の質」に注視されがちですが、「精子の質」も同じように妊娠成立に大きく関わっています。
「精子は毎日作られるから大丈夫」と言われることもありますが、だからこそ、環境に左右されやすく、女性の卵子と同じように“年齢”や“生活習慣”の影響を受けることも分かっています。
また、精液検査で「濃度・運動率・形態」が正常範囲にあっても、なかなか妊娠につながらないケースもあり「数値が良い=妊娠できる精子」とは限らないのです。
先日、ご相談に来られた30代のご夫婦。
奥さまの検査では大きな異常はなく、ご主人の精液検査も「問題なし」と言われていました。
人工授精を4回受けましたが妊娠には至らず、体外受精へのステップアップをすすめられました。
ご夫婦は、原因がわからないまま体外受精をしてもうまくいく気がしないと不安を感じて一陽館薬局へお越しになられました。
体外受精は保険がきくとはいえ、かかる費用は大きな負担であり、どうせ費用をかけるなら体のためになることに使いたい、とお考えでした。
漢方で体質改善といっても、漢方処方は何でもよいわけではなく、まずは詳しくお話を伺う事が最も大切になります。
ご主人は仕事のストレスを抱えておられ、睡眠時間が短く、帰宅後は晩酌が習慣に。
少しお酒の量か多めになると、翌日は決まって下痢になります。
血流もあまり良くないタイプで、いつも腰や下半身が冷えているとのこと。
そこで、体質に合わせて「腎精を補い、血流を整える漢方薬」を処方し、同時に生活習慣も少しずつ見直していただきました。
禁酒が難しくても飲酒習慣を見直し、睡眠を意識し、運動も軽く取り入れていただいたところ、3か月後の検査では精子の運動率が改善し、その後ご夫婦で自然妊娠に至ることができました。
このように、「数値では問題なし」と言われても、実際には質の面で力を発揮しきれていない精子も少なくありません。
精子はとてもデリケートで、生活習慣や環境の影響を受けやすいものです。
代表的な要因としては次のようなものがあります。
・加齢:35歳を過ぎると精子のDNA損傷が増えやすいとされています。
・酸化ストレス:喫煙、過度の飲酒、睡眠不足、ストレスは大敵です。
・熱の影響:長時間のサウナ・熱いお風呂、膝の上のPC作業、きつい下着も精子形成を妨げます。
・血流の滞り:精索静脈瘤や慢性的な冷え・瘀血は、精巣への栄養供給を妨げます。
・ホルモンバランスの乱れ:テストステロン不足や内分泌異常も関与します。
・薬剤やサプリ:ステロイドや一部薬剤は、精子形成に深刻な影響を与えることがあります。
こうした因子が積み重なることで、精子の「妊娠力」も弱ってしまうのです。
漢方では「腎は生殖をつかさどる」とされ、生命力を支えるエネルギー源である「腎精」を養うことで元気な精子をつくることを目ざします。
◎腎精を補う=精子の生成力そのものを高める。
◎血流を整える=瘀血を改善して精巣に栄養と酸素を行き渡らせる。
◎ストレスを和らげる=気の巡りを良くしてホルモンバランスを支える。
◎炎症や毒素を取り除く=体内の余分な熱や老廃物を排して、健やかな環境をつくる。
一陽館薬局では、「冷え体質で精子が弱い方」「ストレス過多でホルモンが乱れている方」などタイプに合わせた漢方を組みあわせてパワーアップをご案内しています。
精子は約74日で新しく作られることから、まずは3ヶ月の変化に期待していきましょう。
精子の不安は、女性からのご相談でも多く、ご夫婦で目線を合わせることが改善への一歩です。
妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。
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