秋の妊活のポイント〜陰長陽消〜
夏の陽気から冬の陰気へと転じる季節を、日に日に実感されているのではないでしょうか。
漢方では「秋は肺を養う」とされ、乾燥により肺陰が損なわれやすく、同時に寒暖差で気血の巡りが乱れやすい時期と考えられます。
妊活においては、肺陰を保ち、腎精を養い、気血の流れを調えることが重要な養生のポイントになります。
◎ 潤肺と補腎を意識した食養生を
秋の乾燥は「肺陰虚」を招きやすく、粘膜や子宮内膜の潤い不足、基礎体温の高温期不安定などに関わることから“潤肺の食材“を積極的に取り入れると効果的です。
潤肺の性質をもつ食材として、梨・大根・蓮根・百合根・白きくらげ等は、津液を補い、乾燥による肺の熱を鎮め、呼吸・皮毛・粘膜を保護します。
さらに妊活養生で不可欠な要素として、補腎、養血が挙げられます。
腎は「先天の本」とされ、生殖を司る臓腑であり、腎精が充実してこそ卵や精子の質が保たれます。
補腎養血の性質をもつ食材として、黒ごま・くるみ・山芋・なつめ・黒豆などがおすすめです。
黒色の食材は「腎」に入るとされ、腎精・腎陰を養う働きがあります。
◎ 気候に合わせた生活養生を
秋は昼夜の寒暖差が大きくなります。
「陽気」が急速に収斂し「陰気」が増す季節です。このため、体表を守る「衛気」の働きが不安定となり、風邪や不調が出やすくなります。
養生としては、陰陽のバランスを意識した日常管理が、基礎体温の安定やホルモンバランスの調整につながります。
・薄手の上着やストールで体表を守る(護衛気)
・室内乾燥に対しては白湯や加湿で津液を補う
・夕刻以降は陰気が優位になるため、早めの帰宅、安静を心がける
◎ 睡眠:腎精を養う“子の刻”を大切に
睡眠は単なる休息ではなく、「陰精を養い陽気を蓄える」重要な営みとされます。
特に妊活中は、「腎精を守る時間帯(23時〜1時)」を逃さず眠ることが重要です。
この時間は「胆経」と「腎経」が旺盛になるため、睡眠の質が腎精・ホルモン分泌・排卵や着床力に影響します。
夜更かしは腎陰を消耗させ、卵子や精子の老化を早める要因となり得ます。
陽消陰長の秋だからこそ、早寝により腎精を充実させるにも適した時期といえます。
◎ 足元の冷えと血の巡りに
冷えは「気血の凝滞」を招き、子宮・卵巣への血流を阻害します。
特に足元からの冷えは、腎経・肝経・脾経といった妊活に関わる経絡を直撃します。
・靴下の重ね履きやレッグウォーマーで腎経(内くるぶし)を冷やさない
・足湯で温めることで下焦の陽気を巡らせ、瘀血を防ぐ
・冷えが強い方には「温陽補腎」「活血化瘀」の処方を合わせて検討
局所の温養は単なる保温に限らず、子宮内膜の血流改善や着床環境の整備にも大切です。
秋は「実りと収斂」の季節であり、陰陽の転換期でもあります。
一陽館薬局では、陰陽・五臓・気血水の観点からお一人おひとりに合った妊活養生をご提案しています。
秋特有の不調や体質に応じた処方選びも可能ですので、専門的なご相談もお気軽にお寄せください。
味覚・芸術・スポーツ等、豊かな実りの季節を満喫してお過ごしください。
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