相談では、”このようなこと” をおうかがいしています
はじめて一陽館薬局にいらっしゃる方の多くが、「どんなことを聞かれるのか、ちょっと緊張して来ました」とおっしゃいます。
病院ではないから、採血も内診も超音波もありません。
ではいったい、何を”相談”するのか。
今回は、そのことをお伝えしたいと思います。
◎検査では見えない「体の声」を聞いています
不妊治療のクリニックでは、ホルモン値・卵胞の数・子宮の形・精液所見といった数値や画像で体の状態を捉えます。
それは大切な情報です。
でも、数値だけでは見えないことがあります。
妊娠しない理由は、一つではありません。
排卵があり、卵子が育ち、精子と出会い、受精して、子宮内膜に着床し、その後も安定して育っていく。
この長い道のりのどの段階にも、血流・ホルモン・栄養・免疫・自律神経、そして心身の状態まで複雑に絡み合っています。
どれか一つが極端に悪いというより、いくつかの小さなずれが重なっていることが多いのです。
そのずれを読み取る手がかりが、日常生活や生活習慣の中にあります。
だから、相談では「今の体のこと」を丁寧におうかがいしています。
◎このようなことをうかがいます
<基礎体温のこと>
グラフを見せていただくと、とても多くのことが読み取れます。
低温期の体温がいつも高めで36.7℃くらいある、高温期に37.0℃を超える
⇒これは漢方でいう「陰虚」の状態で、体の中に熱がこもりやすく、潤いや艶が不足しやすくなっていると考えられます。
反対に、低温期が36.0℃に届かず、高温期も36.7℃に満たない
⇒これは「陽虚」といい、気血水の巡りが弱くエネルギーが不足しやすい状態を意味します。
周期によってバラバラで落ち着かない場合は「気滞」、
ギザギザして変動が激しい場合は血の巡りが滞る「瘀血」の状態があらわれています。
高温期の日数が短い、体温の上がり方がゆるやか
⇒これは「腎虚」といい、着床や維持に関わる生殖エネルギーが足りていないことをあらわしています。
基礎体温は、妊活中の体調のバロメータであり、漢方処方を選ぶための大切な情報源です。
<経血のこと>
経血の色・量・塊の有無・生理痛の質。
これらは、子宮と血の状態を映す鏡といえます。
色が暗く、塊が多く、痛みが強い場合は「瘀血(血の滞り)」が疑われます。
量が極端に少なく、色も薄い場合は「血虚」の傾向があります。
不妊治療で排卵誘発剤を使うようになってから経血量が減った、という方もおられます。
そういったことも、大切な情報としておうかがいします。
<おりもののこと>
排卵前のおりものは、精子を子宮内に導くための重要な役割を担っています。
”透明で糸を引くような状態”が十分にあるか。
ほとんど出ない、あるいはずっと多い・・どちらも、子宮内の環境を考えるうえで見過ごせない状態をあらわしています。
<睡眠のこと>
寝つきが悪いか、途中で目が覚めるか、朝の目覚めの気分はどうか。
眠れているようでも「疲れがとれない」という方は、漢方でいう「腎精の消耗」が起きている可能性があります。
睡眠の質は、卵巣の回復力や翌周期の卵胞の育ちに直接関わっています。
<食後のだるさや冷えのこと>
食後に眠くなる、だるくなる。
手足が冷えるのか、下半身だけが冷えるのか、内側から冷える感じがするのか。
冷えの部位や質によって、どの臓腑に問題が起きているかが変わってきます。
「私は冷え性ではありません」とおっしゃる方でも、足首だけ冷たい、お腹だけ冷える、という方もいらっしゃいます。
<気持ちの波のこと>
不妊治療は、心身ともに大きな負担がかかります。
「また陰性だった」「周りが次々と妊娠していく」「いつまで続けるのか」といった思いを抱えたまま、体に追い打ちをかけ続けることは、妊娠力にとってプラスにはなりません。
漢方では「気」の巡りと感情は深く結びついていると考えます。
気持ちの波のことも、遠慮なく話してください。
私どもがこれだけのことを聞くには理由があります。
基礎体温・経血・おりもの・睡眠・冷え・食欲・気持ちの波・・といった一つ一つが、その方だけの「妊娠しにくい理由」を見出す手がかりになるからです。
漢方では、妊娠する力を「腎・血・気」の調和で捉えます。
腎は生命力の源であり卵巣機能の根幹、血は子宮内膜を養い着床の場を整える材料、気はホルモン分泌や自律神経の調整に関わります。
この三つのどこに、どんな偏りがあるかを見極めることが、その方に合った漢方処方を選ぶ根拠になります。
病院の検査で「大きな異常はありません」と言われた方も、「ひと通りの治療はやってみたけれど」という方も、「どこから手をつければいいかわからない」という方も、ご相談の中で「なるほど、そういうことだったのか」という糸口が見つかることがあります。
相談を経て、体はどう変わっていくかというご質問も多いです。
体質が整い始めると、まず月経が変わります。
経血の色が明るくなり、塊が減り、痛みが和らぎ、出血が自然に始まって自然に終わるようになります。
手足の冷えが緩和され、睡眠が深くなり、朝の目覚めが少しずつ楽になってきます。
これらひとつひとつの変化が、子宮内膜の質を育て、卵胞の育ちを安定させ、着床しやすい土台をつくっていきます。
いきなり妊娠という結果が現れなくても、体は確実に動き始めています。
気のせいでも、気持ちの問題でもなく、体が本来持っている力が戻ってきているのです。
私どもにも、こんな方に、ぜひ相談していただきたいという想いがあります。
治療を重ねても結果が出ず、何が足りないのかわからない方。
採卵のたびに数は採れるのに、胚盤胞に育たない・凍結できないと悩んでいる方。
移植のたびに内膜が薄いと言われる方。
43歳を前に、これまでとは違う視点で体づくりを見直したい方。
妊活を始めたばかりで、まず自分の体質を知りたい方。
体に負荷をかけた分に見合う結果が得られにくくなっているとしたら、追い打ちをかけ続けるよりも、一度立ち止まって「弱りを補う」ことに目を向けることが、前に進む確かな足取りになることもあります。
「何から話せばいいかわからない」でも大丈夫です。
「相談って、何を持っていけばいいですか」とよく聞かれます。
可能であれば基礎体温のグラフをお持ちください。
基礎体温をつけていない方や、不妊治療中の方は、これまでの経過をざっくり教えていただければ十分です。
何も準備がなくても、会話の中からすくい取っていきますので、そのままお越しください。
「今まで全然気づかなかったけれど、ふと目に留まったのが不思議で、これは何かのご縁だと直感を信じて連絡してみました」とおっしゃる方がいます。
そのご縁を、大切にしたいと思っています。
妊娠しない理由は一つではありませんが、整える道は必ずあります。
少しだけ視野を広げ、足元に目を向けると、解決へのヒントが見つかるかもしれません。
妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。
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◎陽子先生妊活Instagram




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