2025.11.24

“焦らず急ぐ“妊活とは～妊娠できる体づくりの考え方～

妊娠を切望する方にとって“早く赤ちゃんに会いたい”という気持ちは、とても自然な想いです。

妊活を続けるほど、気持ちが急いたり、焦ったりするのは誰にでもあることで、その思いを否定する必要はありませんし、我慢して押し込める必要もないと思います。

ただ、逸る気持ちに押され、治療を急ぐあまり、かえってご自身の体への負担が大きくなり、結果が遠のいてしまうケースがあることも「妊活の基礎知識」として認識しておくべきかもしれません。

無情にも“そうなってから“では間に合わないこともあるのも現実です。

自然妊娠・人工授精・体外受精と、妊娠の手段がどうであっても、すべての共通点は “体が妊娠できる状態であること” がベースにあるということです。
排卵が起こり、卵子と精子が出会い、受精卵が着床し、その後も妊娠が維持される、といった連続した経過は、治療の技術だけでなく、体そのものの働きにより実現するものです。
ですから、身体の状態が整わないまま(妊娠にいたらなかった頃と変わらない状態のまま)治療を重ねても、思うように前に進めないことがあるのだと思います。

「保険適用の範囲で結果を出したい」
「次こそはという思いが強くて漢方に頼りたい」。
その焦りや切実さは、これまでの努力の証でもあると思いますが、あまりにも即効性を求め過ぎると、逆にご自身の心も体も苦しくなってしまう場合があります。
漢方は魔法の薬ではありませんが、体の流れを妊娠へ向けて整えていく力をもっています。
その力をしっかり活かすなら、追い詰められてからではなく、できるだけ早いタイミングで体と向き合い始めるほうが、ゆとりも希望も持ちながら進めていけるのは当然のことです。

最近は成分補充系サプリを複数飲まれている方も増えています。
栄養を満たすことは大切ですが、サプリと漢方は役割が異なるため、どちらが良い・悪いではなく、目的そのものが違います。
サプリは不足している栄養素を補うもので、漢方は体のはたらきを整えていくものです。
体質から整えていきたい場合には「外から足す」発想ではなく「体そのものが変わっていく」方向づけが必要になります。
温めるケアやリラクゼーションなども良いものですが、漢方と組み合わせることで相乗していくことが多いと感じています。

妊娠は、誰かと比べる必要のないテーマです。
年齢が同じでも、生活環境や体調、心の状態は人それぞれで、その違いが妊娠力にも反映されます。
そのため、ご自身に合った「妊活の進め方」を見つけることが、とても大切だと思います。

一陽館薬局では、体質・年齢・不妊治療歴・生活リズム・メンタル面をふまえながら「妊娠へ向かう体を一緒につくっていく」ことを大切にしています。
ひとりで抱え込む妊活ではなく、納得しながらご自身に合った妊娠をめざすことをサポートの軸としています。

「焦っちゃいけない、でも待っているだけでもいられない」
そんな気持ちの狭間でブレている方こそ、いつでも相談していただければと願っています。