漢方から見た不妊治療薬の影響とは
「体には良くないですよね・・」と分かっていても、期待と希望が見え隠れすると、鼓舞して前を向くしかない、と言われます。
何度も体外受精をしてきたかたでも、あらためて採卵、移植時の薬を振り返ると、たくさんの薬に疑問を持つこともなかったと言われることもあります。
不妊治療は、最先端の医療技術ですが、その恩恵には当然メリットとデメリットがあります。
漢方の視点から見ると、薬の作用は大きな助けになる一方で、体調に少しずつ影響を及ぼすこともあります。
今回は、不妊治療薬が体に与える影響を漢方的に捉え、どのようにサポートしていけるかを考えてみましょう。
まず一つ目は、「骨盤内の瘀血」です。
漢方では、血液が滞って流れが悪くなる状態を「瘀血」と呼びます。
血流が停滞すると、血の塊のようなものが生じ、現代医学でいう血栓や癒着にも通じる状態となります。
この瘀血は、着床を妨げる大きな要因のひとつです。
血液が滞ることで、新しい血が十分に流れ込まず、子宮内膜の質にも影響を与えます。
たとえ検査結果に異常がなくても、漢方ではこのような「体質的な滞り」こそが妊娠を妨げる最大の要因と考えます。
治療薬による副作用や、長期間の治療による血行不良の積み重ねも、瘀血を悪化させる原因になります。
年齢による変化を含め、「スムーズな血の流れ」は、着床しやすい環境づくりには欠かせません。
体質の根本から見直し、巡りを整えることが、一陽館薬局が目指す本質的なアプローチといえます。
次に、「卵巣への負担」について考えてみましょう。
排卵誘発剤やホルモン剤などの治療薬は、卵巣を刺激し、排卵やホルモン分泌を助ける役割を果たします。
しかし、その反面、卵巣にとっては大きな負担となることもあります。
薬剤への反応が鈍くなったり、過剰刺激によって卵巣が疲弊したりすることも認識しておく必要があります。
漢方では、卵巣の働きを「腎」という臓の力で支えていると考えます。
腎は、生命エネルギーの源である「精」を蓄える場所であり、精が満ちているほど、卵巣機能は元気に働きます。
ところが、ストレスや過労、睡眠不足などで精が消耗すると、回復力が低下し、卵巣の反応も鈍くなってしまうのです。
つまり、治療を続けて成果を上げるためには、薬の力に応えられる「卵巣力」が必要です。
漢方で腎精を補うことは、卵子の発育、採卵、受精、そして着床の維持にまで好ましい影響をもたらします。
治療を支える底力を養うことが、漢方が担う大切な役割です。
そしてもうひとつ見逃せないのが、「ストレスの影響」です。
思うように結果が出ない焦り、通院の重圧、経済的な負担など、不妊治療に伴うストレスは、心にも体にも大きな影響を及ぼします。
長く続く緊張状態の中で、自分を責めてしまったり、前向きな気持ちを保てなくなったりすることもあるでしょう。
漢方では、感情や自律神経のバランスを整える「肝」の働きが乱れると、気の巡りが滞り、ストレスを溜め込みやすくなると考えます。
この状態が続くと、排卵が遅れたり、月経周期が乱れたりと、妊娠しにくい状態へとつながってしまうのです。
一陽館薬局では、単に薬(=漢方)をお渡しするだけでなく、気持ちに寄り添うカウンセリングを大切にしています。
誰かに話すことで、心が軽くなり、気の巡りが整っていく。
漢方から見た不妊治療薬の影響を和らげ、妊娠力の回復につながると思わることも少なくありません。
不妊治療薬は、妊娠への道を支える大切な役割を果たすと言われますが、その力を最大限に生かすためには、体の内側から整える「漢方の支え」もご検討いただきたいのです。
治療と漢方をうまく調和させながら、ご自身の体と優しく向き合う時間を大切にしていきましょう。
一陽館薬局では、お一人おひとりの体質や治療段階に合わせ、無理のないペースで体を整える漢方をご提案しています。
不妊治療を頑張るすべての方が、少しでも穏やかな心で前に進めるよう、私たちは寄り添い続けます。
妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。
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