妊娠を妨げる「湿邪」とは
梅雨入りの知らせが聞こえてくると、湿度の高くなることによる不調のご相談も増えてきます。
最も多いのは胃腸炎や下痢、腹痛などの胃腸のトラブルですが、不妊治療のスケジュールが変わってしまったり、排卵期なのに体調がすぐれない、など予定通りに妊活が進まなかった経験がある、と思い当たるかたもおられると思います。
漢方では、湿気が健康を害することを「湿邪」という外的要因として捉え、身体の内側に生じる変化と関連づけて考えています。
湿邪は、重く粘り気があり、停滞しやすいという性質を持ちます。
胃腸は漢方では「脾（ひ）」と呼び、消化吸収を司る臓腑とされます。
湿邪がたまると、働きが弱まり、栄養分をうまく巡らせることができず、身体全体のエネルギーである「気」や「血」を十分に作り出せなくなります。
結果として、生殖に必要なエネルギーも不足することにつながります。
また、体内に入り込むと気血の巡りを妨げ、特に下半身や子宮周辺の「瘀血」や「水滞」を引き起こしやすくなり、生理不順、経血量の異常、帯下（おりもの）の増加や性状の変化なども見受けられます。
特におりものが増えて黄色味がかった色がみられる場合は、湿熱（湿と熱が合わさった状態）が疑われ、子宮内の炎症や感染症と関連していることもあり、これも妊娠を妨げる大きな要因として要注意です。
むくみやすくなったり、体が重くて疲れてしまったりするほか、多嚢胞性卵巣やPMSの悪化にもつながります。
このように、湿邪は女性の身体にさまざまなかたちで影響を与え、妊娠に向けた準備を妨げる要因となり得ます。
雨期から夏にかけては、体内に「湿」を溜め込まない生活習慣と、脾胃を健やかに保つことが妊娠のチャンスにもつながります。
たとえば、冷たい飲食を控える、身体を冷やさない、適度に汗をかいて巡りを良くするなど、日常の心がけが体質改善につながります。
一陽館薬局では、季節の不調にも対応しておりますので、早めの対処により長引かせないようにしていきましょう。
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