“湿”と”邪”と不妊要因

一見バラバラな症状に見えるお悩みには共通点があります。
・おりものがいつも多い、または水っぽい・ドロッとしている
・身体がむくみやすく、疲れが取れない
・病院で「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」と診断された
・舌を鏡で見ると、白いもやもやとしたコケ(舌苔)がべったりついている
・雨の日や湿気の多い季節になると、とくに体がだるくなる
これらは漢方では「湿邪(しつじゃ)」という共通のキーワードでつながっている場合がとても多い現象です。

湿邪とは?
漢方では、健康を乱す外的・内的な要因を「邪気(じゃき)」と呼びます。
その中で「湿邪」とは、体の中に余分な水分や湿気が停滞してしまう状態のことをさします。

水は本来、体を潤し、栄養を届ける大切なものですが、「流れ」が滞ると、水はきれいな潤いではなく、「濁った水たまり」のように変わってしまいます。

この”水はけの悪い体”が、妊娠のさまたげになることがあるのです。

湿邪はなぜ不妊につながる?
漢方では、妊娠するために特に重要な臓腑として「脾(ひ)・腎(じん)・肝(かん)」の三つを挙げます。

湿邪は、まず「脾」の働きを弱めます。
脾は西洋医学でいう消化・吸収の機能に近く、食べたものから気血(エネルギーと栄養)を作り出す要の臓です。
脾が湿邪に侵されると、気血の生成がうまくいかず、子宮や卵巣への栄養供給が不足してしまいます。

また、湿が停滞すると「痰湿(たんしつ)」と呼ばれる、さらに重たくドロッとした状態に変化します。
この痰湿が子宮や卵巣の周囲に溜まると、排卵の障害や卵の質の低下、着床環境の悪化に関わると漢方では考えます。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と湿邪・痰湿
PCOSは、卵巣の中に小さな卵胞が多数たまってしまい、排卵が起こりにくくなる状態です。
不妊の原因の中でも頻度が高く、「なかなか妊娠できない」とご相談くださる方の中にも多く見られます。

漢方的には、「痰湿が卵巣に停滞し、卵胞の成長と排卵を邪魔している」という状態に当てはまります。

PCOSの方によく見られる特徴としては、
・体格がふっくらとしている、または水太りタイプ
・舌に白くて厚いコケがある
・月経が不順、または希発月経(生理の回数が少ない)
・おりものが多く、白っぽい、または黄色みがかっている
・胃腸が弱く、食後に眠くなりやすい
などが挙げられます。

もちろん個人差はありますが、「脾の弱さ+痰湿の停滞」という体質を整えることが、PCOSへの漢方によるアプローチとなります。

おりもの異常にも湿邪が!
おりものは、子宮・腟の健康状態を映す鏡です。

漢方では、おりものの量・色・質感を「帯下」と呼び、体質を見極める大切な情報として捉えます。

健康的なおりものは、透明〜白で、さらっとしており、臭いも強くありませんが、湿邪が強い状態では、
・量が多い(下着がいつも湿る感じがある)
・白くてドロッとしている、または水っぽくて流れ出るような感覚
・やや黄色みがかっており、粘り気がある
などが特徴です。

湿邪が生まれやすいライフスタイルとは

湿邪は、ある特定の生活習慣によって体内に蓄積しやすくなります。思い当たることはありませんか?
食事面
・甘いもの、脂っこいもの、乳製品を多くとる
・冷たい飲み物・食べ物を習慣的にとる
・食事の量が多い、または不規則
生活面
・運動不足(座りっぱなしの時間が長い)
・湿度の高い環境に長くいる
・過労や睡眠不足が続いている

脾は冷えと過食に特に弱い臓です。
現代の食生活は湿邪を生みやすい要素が多く、日頃の食事と生活を少し見直すことも大切です。

漢方による湿邪へのアプローチ
湿邪・痰湿へのアプローチにおいて漢方が目指すのは、大きく三つです。
① 「脾」を立て直し、湿を生まない体をつくる
脾の働きを高め、摂った食事を気血に変換する力を回復させます。
② 溜まった湿・痰湿を取り除く
「利湿」「化痰」と呼ばれる働きを持つ生薬で、停滞した湿を体外へ排出します。
③ 子宮・卵巣へ気血を届ける
体全体の気血の巡りを整えることで、卵巣・卵胞・子宮内膜の環境を改善へと導きます。
一陽館では、「脾・腎・肝」のバランスを一人ひとりのご体質に合わせて整えることを、不妊漢方の基本と考えています。
PCOSやおりもの異常でお悩みの方も、ぜひ一度ご相談ください。
ふとしたことから、妊娠への道が開けることがあります。

湿邪・痰湿タイプチェック
・ おりものが多い、またはドロッとしている
・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断されている
・身体がむくみやすい、特に足がだるい
・舌に白・黄色の厚いコケがある
・甘いもの・脂っこいものが好き
・雨や梅雨の時期に体調が崩れやすい
・月経周期が長い、または不規則
・胃腸が弱く、もたれやすい
複数当てはまる方は、湿邪が不妊体質に関係している可能性があるかもしれません。

漢方は「体質を変える医学」として根付いてきました。
症状を抑えるだけでなく、湿邪が生まれにくい体をつくることが、妊娠できる体づくりでもあります。

おりものの様子や排卵障害でお悩みの方、PCOSと向き合いながら妊活されている方、いつでもご相談をお待ちしています。

妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。

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