栄養障害への漢方的対応
妊活中の検査で、ビタミンDや鉄分が不足し、フェリチン値も低いというかたもおられます。
不足した成分をサプリメントで補充する以外に、漢方的側面から対応をご案内したいと思います。
栄養が不足する大きな要因としては、体質的に胃腸が弱く、食事をしっかりと消化して体内に取り込んで血液として活用することができないということが考えられます。
ですが、今回ご相談いただいたお客さまのように、べつに胃腸が弱いわけでもなく、偏食でもなく、食事量的にも極端に少ない、ということはないけれど、血液検査では多くの栄養成分が不足しているという場合は、消化吸収機能の問題ではなさそうです。
不足した成分を補充したからといって、元気になったとか、何かが変わったという感覚もなく、よくわからないまま必要だから飲まなきゃならないと思って飲んでいる、と言われます。
カウンセリングを進めていくと、お一人目をご出産後、翌年に二人目を出産され、その後三人目を希望してからは3回流産されています。
流産の原因を追究する中で発覚したのが、今回の「栄養障害」です。
漢方では、月経にかかわる血液は、胃腸で消化された後、肝臓(漢方的な「肝」)に貯蔵されると考えられています。
「肝」は、月経つまり妊娠維持やホルモンバランスにも関わりますから、お一人目の妊娠出産で「肝血」を消耗しきった状態でお二人目の妊娠出産を成し遂げられ、さらに回復が十分でない状態で三人目の妊娠をしても、妊娠を維持する血(=肝血)や体力(=腎精)が圧倒的に不足しているといえます。
ですから、一般的な食養生や胃腸を整える対応ではなく、「肝」を養い、有効な肝血の充実と、生命活動に必要な「腎精」を補うことが必要になります。
漢方は表面に現れている状態から、要因となる臓腑の調子を推測し、背景や状況を組み込んで考察することにより、改善ポイントを見つけて整えてまいります。
ですから、「ご相談」がとても重要になるのです。
医学的には原因不明でも、不調を抱えておられるならば、必ず理由があります。
心のバランスの乱れが体調に影響することもあれば、体からのメッセージに気づかずやり過ごしていることもあります。
「ご相談」を通じての「気づき」が、好転への始まりです。
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