排卵できない”詰まり”とは
「排卵障害」と診断されても、卵胞の大きさは問題ない、ホルモン値も極端に悪くないのに?
と不思議に思われることがあるかもしれません。
実は排卵障害の中には、「卵胞は育っているのに、最後の一歩で破れない」というタイプがあります。
「黄体化非破裂卵胞(LUFS)」と呼ばれる状態がその代表ですが、診断名がつかなくても低温期がだらだらと長引く、排卵が遅れがちという方の中にも、似たような”しくみ”が関係していることがあります。
この「あとひと押し」に、漢方独自の理解をご紹介します。
排卵とは、簡単にいうと成熟した卵胞の壁が破れ、卵子が飛び出すできごとです。
この「破れる」という動きには、ただ必要なエネルギーが充足しているだけでなく、力が一点に集中して外へ向かって解放されるような”勢い”が必要となります。
漢方ではその”勢い”を担うのが「気(き)」の流れだと考えます。
気がスムーズに巡っていれば、成熟した卵胞はタイミングよく弾けることができるのですが、気の流れが滞った状態「気滞(きたい)」が起きると、力が内側でうまく高まらず、排卵のスイッチが入りにくくなります。
ストレスや緊張が続いていると気が滞りやすいことから、ある意味、几帳面で頑張り屋さんのタイプほどこの「気滞」が起きやすくなります。
「やらなければ」という緊張感がずっと続くと、力んで気は動けなくなってしまうのです。
妊活に真剣であればあるほど、知らずに気を詰まらせてしまっているかもしれません。
さらに、気の滞りは血の流れも滞らせます。
気滞が長引いて「瘀血(おけつ)」に至るケースです。
「瘀血」とは血の循環が悪くなり、局所に古い血が停滞した状態のイメージです。
現代医学的に言えば、骨盤内や卵巣周囲の微小循環の悪化に近い概念です。
PCOSで卵巣の表面が厚くなる、あるいはLUFSで卵胞が破れにくくなるという現象を漢方でとらえると、瘀血による組織のかたさ、しなやかさの低下として読み解くことができます。
卵胞の壁が弾力を失えば、成熟しても破れるためのエネルギーが分散してしまいます。
冷えや瘀血が子宮や卵巣に影響するという話はよく聞きますが、瘀血の問題が「排卵する瞬間」そのものを妨げているという点には、あまり注目されていないように思います。
気滞や瘀血のある方の基礎体温の特徴をあげます。
・低温期が長引き、排卵日が特定しにくい
・高温期への移行がなだらかで、スパッと切り替わらない
・排卵前後に体温がいったん下がらず、ずるずると続く
このような波形は、卵胞が成熟しても排卵の「勢い」が足りていないことを示しているかもしれません。
「排卵検査薬で陽性が出るのに、タイミングを合わせても妊娠しない」という方の中にも、実際には排卵が成立していないLUFSのケースが含まれていることがあり、基礎体温と合わせて丁寧に見ていく必要があります。
気滞・瘀血への体質改善では、滞った気と血の流れを解きほぐし、卵巣周囲の循環を回復させることを目指します。
腎精を補うアプローチとは異なり、「足す」よりも「通す」ことが主眼となります。
どちらのアプローチが必要か、あるいは組み合わせが必要かは、基礎体温の形、月経の状態、体の感じ方などから総合的に確認することが大切です。
一陽館薬局では、基礎体温表を持参してご相談いただく方も多く、グラフを一緒に読み解きながら体質に合った対応をご提案しています。
「育っているのに排卵しない」という状況に、思い当たることがあればぜひ一度ご相談ください。
妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。




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