慢性子宮内膜炎と漢方的体質改善

不妊治療を続けているのに、なかなか結果が出ない方の中には、「子宮内膜炎」と診断されるケースがあります。
子宮内膜炎には急性と慢性があり、急性は細菌感染などによる明確な症状(下腹部痛・発熱・膿性帯下)を伴います。

問題となるのは慢性子宮内膜炎です。
自覚症状がほとんどなく見逃されやすいのに加え、子宮内フローラの乱れを通じて着床の妨げになることがあります。
原因不明の不妊や繰り返す着床不全の要因として関係しているとも言われています。
医学的診断には子宮鏡検査や子宮内膜生検などが行われます。

漢方では、どうとらえるか
漢方的には、慢性子宮内膜炎の状態は「瘀血(おけつ)」と「湿熱(しつねつ)」の関与が考えられます。

瘀血とは、血が正常に循環せず、古い血液や代謝産物が局所に滞留している状態です。
子宮内膜は毎周期リセットされるべき組織ですが、瘀血が生じると新陳代謝が滞り、内膜の質や着床環境の劣化につながります。
西洋医学的に言えば、局所の微小循環の障害、慢性的な炎症反応の遷延といった状態と重なります。

湿熱とは、体内の余分な湿邪と熱邪が絡み合い、炎症性の病理産物が停滞している状態です。
これは単純な「体が熱っぽい」という話ではなく、組織レベルでの炎症環境の持続を指します。
子宮内フローラが乱れ、乳酸菌以外の雑菌が優位になりやすい状態とも親和性があります。

一つだけ治そうとしても、イタチごっこになる理由
慢性子宮内膜炎に対しては抗生剤治療が有効な選択肢とされますが、漢方では「なぜそこに炎症が生じやすい状態になったのか」という体質的な要因に着目します。

瘀血や湿熱が体質として根付いている場合、表面的な治療だけでは再燃しやすく、着床環境も十分に改善されないことが考えられます。
氷山の水面上だけを削っても、水面下の体積は変わらないのと同じことといえます。

漢方でめざす子宮環境の立て直しとは
一陽館薬局では、以下のような方向性で体質改善をご提案しています。
瘀血の改善:局所の血流を促し、内膜の新陳代謝を正常化することで、毎周期きれいにリセットされる子宮環境をめざします。
湿熱の除去:炎症性の環境を鎮め、子宮内フローラが善玉菌優位に整いやすい状態をつくります。抗酸化的な働きを持つ処方が中心となります。

漢方は症状の名前に対して処方するのではなく、体質全体を診て処方を組み立てます。
「子宮内膜炎だからこの薬」ではなく、お客さまのお体の状態を丁寧に読み取っていくことが大切です。

目先の数周期の結果だけでなく、妊娠してからの体力、出産まで続く体づくりを見据えて、今できることを一つひとつ積み重ねていきましょう。

妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。

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