年齢に応じた妊活の必要性とは
「いつかは子どもを」と思っていても、仕事や生活を優先するうちに、つい妊活を先送りにきたという方もおられます。
しかし、妊娠力は年齢とともに少しずつ低下することはわかっていても、低下のペースは一定ではなく”ある時期から急激に”変化する、その折り返し地点を逃さないことも大切です。
医学的なデータと漢方の体質観を組み合わせて、「今の体を知り、できることを始める」ために今一度向き合っていただければと思います。
医学的な研究によると、排卵期に合わせた性交を行った場合の1回あたりの自然妊娠率は、20代では約25〜30%ですが、35歳を過ぎると約18%、40歳を超えると5%前後、45歳を過ぎるとわずか1%程度まで低下することが知られています。
さらに1年以内に妊娠できる確率でも大きな差があります。
20代では約86〜100%と高い一方で、30〜34歳ではおよそ63〜78%、35〜39歳では52〜66%、40歳を超えると36%前後まで下がり、45歳を超えると5%未満になると報告されています。
このようなことから、35歳を境に「妊娠のしやすさ」はゆるやかに、そして40歳前後で急激に変わると考えられており、誰にでも起こる自然な加齢にともなう現象なのです。
妊娠率低下の根拠としては、卵子の「数」と「質」の両方の低下があります。
生まれたときに約200万個あった卵子は、30歳でおよそ12%、40歳ではわずか3%まで減少します。
同時に、卵子そのものの老化も進み、受精・着床に必要な力が不足しやすくなるほか、染色体異常のリスクも高まります。
だから、体外受精を急ごう、というのが現代の不妊治療での方針であり、多くの方が納得できるものだと思います。
シンプルに加齢に伴う妊娠力低下をカバーするだけという場合は別として、実際のところ治療を繰り返してもなかなか結果に結びつかないケースではどういった状況が考えられるのかについてご紹介してみたいと思います。
漢方では、妊娠力は「腎」という臓腑の働きと深く関わりがあるととらえられてきました。
InstagramやYouTube動画で「腎」のご紹介をしていますが、他のテーマに比べて視聴回数が少なく、分かりづらいのか興味が薄いのか・・と思っていますが、実は生命の源として最も重要な力です。
腎は、生命エネルギーの貯蔵庫であり、成長・発育・生殖を支える「精」を蓄えています。
20代は腎精が豊かで妊娠力も高い時期ですが、30代半ばから腎精は少しずつ消耗し、ホルモンバランスや排卵リズムにも影響が出てきます。
さらに、年齢とともに血流の滞りや冷え、ストレスなど複数の要因が重なり、妊娠に好ましくない体質へと傾いていくことがあります。
漢方では、卵子の質をサポートする「補腎」、子宮や卵巣への血流を改善する「活血」、ストレスから自律神経の乱れを整える「疏肝」など、体質に合わせたケアを行うことで妊娠力そのものの底上げを「体づくり」としています。
”年齢を意識した妊活”というテーマは、ストレスや焦りを招くことかもしれません。
しかし、今のご自身の状態を正しく知ることは、必要な準備を始めるための第一歩です。
30代前半でもストレスや生活習慣によって腎精が消耗している方もいれば、40代でも体質を整えることで自然妊娠される方もいます。
年齢はひとつの目安であって、「今の体の状態」を把握することが大切なのです。
一陽館薬局では、体質チェックと漢方相談を通じて、お一人おひとりに合わせた妊活プランをご提案しています。
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◎陽子先生妊活Instagram
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