“子宮“の痛み
子宮内膜症がひどく、骨盤腔内で癒着が生じ、排便のたびに痛みを感じるかたがおられます。
今回は、なかなか着床しないとお悩みのお客さま。
すでに凍結されている胚の移植に向かわれる時期に、一陽館の子宝漢方でサポートできないかとご相談いただきました。
彼女には以前から気になっていることがありました。
排卵(胚移植)の数日後から、排便時にいつも同じ場所が痛むそうで、医師に相談すると、子宮内膜症による癒着もありそうだから、癒着による痛みも考えられるとのこと。
その影響で着床しないのかは分からない、と。
20代から卵巣チョコレート嚢胞の治療のためにピルを10年以上服用してこられました。
結婚してからも仕事が忙しいこともあり、しばらくはピルを飲み続けていました。
数年が経ち子どもを持ちたいと考えるようになりピルを停止しました。
同時に通院も開始し、検査を受けたところAMHが0.2であることが判明し体外受精をすることになったそうです。
課題は、採卵しても卵子の質がよくないこと、とれる数が少ないこと、三度の移植で一度も着床しないこと、です。
ただこのまま体外受精を継続しても同じことの繰り返しでは意味がない、と考えられて、状況を変えるために、漢方の視点からサポートできることがないかとのご要望です。
医学的に見る「癒着」とは、本来は離れているはずの臓器や組織が、炎症や手術、感染などをきっかけにくっついてしまう状態を指します。
子宮や卵管、卵巣の周囲に癒着が生じると、卵管の通り道が狭くなったり、子宮内膜の再生がうまくいかなかったりして、受精卵が着床しづらくなることがあります。
子宮や卵巣と腸はまさに至近距離にありますから、癒着が起きる可能性も考えられ、便が通過する際に子宮が痛いと言われるかたもおられます。
子宮内膜症、クラミジア感染後、帝王切開や流産手術後などは、骨盤内や子宮内の癒着が起こるリスクも高まります。
検査では発見されにくいこともあり、「原因不明の不妊」とされる中に見受けられることもあるようです。
西洋医学では、手術などで物理的に剥がすしかないケースもありますが、漢方では「流れを整え、硬さ=炎症を和らげる」というアプローチが主体となります。
漢方のとらえ方では、このように「炎症のあとに組織が固まって動きが悪くなる」状態を、“血の巡りが滞っている”=「瘀血(おけつ)」といいます。
瘀血とは、単に血流が悪いというだけでなく、血液がドロドロして流れにくくなったり、古い血がうまく排出されずに体内にとどまったりしている状態を指します。
その結果、子宮内膜への血流も滞り、酸素や栄養が届きにくくなり、内膜の質の不備により受精卵を受け入れにくい環境をつくってしまうのです。
癒着が起こるきっかけは「炎症」ですが、炎症のあとに血流が悪くなり、瘀血が慢性化すると、組織が硬く、動きが鈍くなります。
つまり、炎症 → 血流の滞り(瘀血) → 組織の固着(癒着)という流れが、漢方的にも医学的にも同様に説明がつくのです。
実際、瘀血体質の方は、生理痛が強い、経血に塊が多い、下腹部に張りや違和感があるといった特徴が見られます。
これらは「血の流れがスムーズでない」状態をあらわしており、小さな癒着の要因とも見て取れます。
漢方では、いったん生じた「癒着そのものを直接溶かす」ことはできませんが、血の巡りを整え、体が自ら修復していく力を高めることを目指します。
体の中の滞りを少しずつ解いていくことで、自然な妊娠力の回復につながります。
妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。
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