妊活の盲点「若腎虚」とは
年齢的には余裕があるはずなのに、妊娠力が弱っている「若腎虚(わかじんきょ)」は、若いうちに現れる「腎の虚弱」を意味します。
今回は、少し漢方についてのお話をします。
「腎(じん)」は漢方で、成長・生殖・生理機能の根幹を担うものと考えます。
年齢に伴う変化だけでなく、生活習慣やストレス、栄養状態の影響で比較的若い世代にも“腎“の機能低下が現れることがあり、それを「若腎虚」と呼んでいます。
若腎虚が妊娠に関わる仕組みについてご案内したいと思います。
漢方では「腎は精を蔵し、成長・生殖を主る」とされます。
腎の精(生殖や発育の根拠となる物質的・機能的側面)が不足すると、月経リズムや排卵の安定、黄体期の維持などに影響が出やすく、結果的に妊娠しにくくなることがあります。
一般的に、基礎体温の高温期が短い、排卵が不規則、疲労感が強いといった様子から“腎の虚弱“の可能性を考えます。
ただし、個々の症状は必ずしも一義的ではないため、全体像(=証)を把握して処方を決めることが大切です。
よく見られる特徴
・月経周期の乱れ(短期間の変動や無排卵傾向)
・基礎体温で高温期が短い、あるいは高温期が不安定である
・疲れやすさ、特に夕方に強い倦怠感が出る
・腰背部のだるさ・冷え感(骨盤周囲の血流低下)
・耳鳴りやめまい、手足の冷えを訴える方もいる
これらは西洋医学的な検査で原因が明確にされる場合もあれば、はっきりした異常が出にくい場合もあります。
漢方は症状と体質の両面から調整を行います。
漢方での取り組み方の例をまとめます。
1. 腎精を養う(補腎)
腎を補い、生殖・成熟の基盤を支えます。
単純に「補えばよい」というわけではなく、陰陽の偏り(冷えが強いか、のぼせが強いか)や気血の状態と合わせて考えることが大切です。
2. 気血を整える(補気・補血)
卵胞の育ちや着床環境は血流と栄養供給に依存しますから、補腎だけでなく、気(エネルギー)や血(栄養)を同時に支える配合が効果的になります。
3. 自律神経と血流の調整
睡眠不足や慢性ストレスがあると自律神経が乱れ、ホルモンリズムに影響します。
漢方的には鎮静・理気の働きを持つ処方や、温めて血流を促す方策を組み合わせてアプローチします。
4. 個々人に合った対策が最重要
同じ「若腎虚」と判断しても、体の冷え・のぼせ・便通・舌や脈の状態などにより実際の処方は大きく変わります。
自己判断で特定の薬方だけを長期服用するのは避け、専門家の診立てを受けていただくのがおすすめです。
漢方の服用とともに日常で心がけていただくとより効果的なことについても一度見直してみてください。
・十分な睡眠(生体リズムの安定)を確保する。
・急激なダイエットや過度な運動を避け、栄養バランスのとれた食事をとる。特に良質なたんぱく、鉄分、ビタミン類を意識する。
・冷えの対策(下腹・腰回りを温める、入浴習慣)。
・慢性ストレスへの対処(休息の取り方、呼吸法や軽い運動の導入)。
若いうちに腎の力が弱まっている場合でも、適切な漢方による対策、生活習慣の見直しにより、妊娠力を支える下地は整います。
気になる症状がある方は、体質を詳しく伺ったうえで、証に合わせた漢方処方と生活改善の計画をご提案します。
検査結果をお持ちの方は、併せてご相談ください。あなたの妊活に寄り添い、根本から整えていきます。
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