妊活と冬季うつ

最近、こんな変化を感じていませんか。
「なんとなく気持ちが沈む」
「朝がつらい」
「甘いものばかり欲しくなる」

季節の変わり目の不安定さとは異なり、実は冬特有の気分低下があることが知られています。
これは日照時間の減少が引き金となって起こるもので、「冬季うつ(ウインターブルー)」といわれます。

日本では2%程度に疑いがあるとの報告があり、うつ病の方の10〜20%が季節性の落ち込みを経験すると言われています。
女性や若い世代に多い傾向があり、妊活中のデリケートな時期には、気分の波をさらに強く感じやすくなることがあります。

冬季うつはうつ病の一種ですが、症状の現れ方に大きな違いがあります。

一般的なうつ病が「不眠・食欲低下・体重減少」を伴いやすい一方、冬季うつでは「過眠・過食・体重増加」が目立ちます。

なかでも、甘いものや炭水化物を無性に食べたくなる“夜のドカ食い”はよく知られた特徴です。
まるで冬眠前の動物のように、体が自然とエネルギーを溜め込もうとするかのようです。

興味がわかない
憂うつ感が続く
やる気が出ない・・
こうした状態は冬に強まりますが、春になると自然に改善していくというのが典型的なパターンです。

なぜ冬は心が沈むのでしょうか。
冬に起こる気分の落ち込みは、基本的に太陽光不足が原因となります。

●セロトニン(幸せホルモン)が減る
朝の光を浴びることで活性化されるセロトニンは、気持ちを安定させ、意欲やリズムをつくる大切な神経伝達物質です。
冬は光が不足し、セロトニンが低下しやすくなります。

●メラトニン(睡眠ホルモン)が過剰に
日照時間が短い冬は、メラトニンの分泌リズムが乱れ、朝起きにくい・日中眠い・夜更かしが増えるといった“冬眠モード”に傾きやすくなります。

●セロトニン → メラトニンのバランスが崩れる
メラトニンはセロトニンが材料。
光不足 → セロトニン減少 → メラトニン過剰やリズムの乱れ・・
と、気分低下につながる連鎖が起こりやすくなります。

もともと感受性が高い方や、ストレスを抱えている方は、この光の変化に敏感で、冬季うつが出やすいことも知られています。

妊活中は、ホルモン変化、検査結果への不安、周囲との比較など、心が乱れやすい時期です。
そこに冬特有の光不足が重なると、気分の落ち込みや無気力が増幅し、悪循環が起こることにつながるのです。
◎気分が沈む → 行動量が減る → 光を浴びる時間がさらに減る
◎過眠・過食 → 自己嫌悪 → さらに気分が落ちる
◎活動性の低下 → 自律神経の乱れ → ホルモンバランスの乱れ

特に女性は「心の状態」と「ホルモンのバランス」は密接に関連しています。
ですから、冬はいつも以上に心の声をしっかり受けとめることが大事になります。

冬季うつを和らげるためにに心がけたいこと。
◎ 朝の光を浴びる
太陽光は何より強力なセロトニンのスイッチ。
晴れた日は、5〜10分だけでも外に出るとリズムが整いやすくなります。
家の中なら、窓際で朝時間を過ごすのも効果的。

◎ 生活リズムそろえる
冬は“季節の時差ぼけ”が起きやすい時期です。
起床・就寝・食事時間が乱れると、体内時計とホルモン分泌が狂いやすくなります。
特に朝の起床時間をそろえることは、妊活にとっても大きな味方になります。

◎ トリプトファンを含む食事を意識
セロトニンの材料となるアミノ酸のトリプトファンは、肉・魚・卵・大豆・乳製品に豊富に含まれています。
冬は「鍋+豆腐+魚」「卵+野菜」の組み合わせが効率よく補えるメニューです。

◎ リズム運動でセロトニンを呼び覚ます
ウォーキング、軽いジョギング、踏み台昇降など、
一定のリズムを刻む運動はセロトニンを増やす効果が高いとされています。
1日10分でも、睡眠の質が整い、自律神経も安定します。

冬は寒さで活動量が減り、屋内にこもりがちになります。
光不足・運動不足・栄養の偏り等、自然と冬季うつが起こりやすい条件が重なります。

漢方では冬は“腎”が弱りやすい季節とされます。
● 冬の冷え → 血流低下 → 気持ちの沈み
● 腎の弱り → 月経・排卵への影響
● 自律神経の乱れ → 睡眠の質の低下

一陽館薬局では、あなたの体質や気分のパターンに合わせて、冬を軽やかに乗り切るサポートをしていきますので、安心してご相談ください。

妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。

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