妊娠に影響を及ぼす要因~隠れ貧血~
病院の検査などで「貧血」の指標として「フェリチン」も重要視される項目の一つです。
フェリチンの正常値は、検査機関によって違いがありますが、女性の場合は20〜100ng/mL程度が目安とされており、妊娠を希望する女性にとっては、「正常」よりもさらに上の値が理想とされることもあるようです。
本質的な貧血を見極めるには、単に血液中の「鉄」の不足だけでなく、「フェリチン」の充足度が大切で、表面的な鉄の量には極端な不足が見えなくても実はフェリチンが不足している状態は“隠れ貧血”とも呼ばれています。
「フェリチン」とは、体内にある鉄の“貯蔵庫”のようなものです。
鉄はすぐに利用されるだけでなく、フェリチンというタンパク質に包まれて肝臓などに貯められ、必要なときに少しずつ使われる仕組みがあります。
つまり、フェリチン値が低いということは、体内の鉄の“貯金”が底をついている状態を意味します。
血液検査でヘモグロビン値が正常であっても、フェリチンが低ければ、体は慢性的な鉄不足に陥っている可能性があることを意味しており、日常的な疲労感、朝のだるさ、集中力の低下、冷え、そして妊娠しにくさなどの不調の背景には「フェリチン不足」が関係しているケースは少なくありません。
特に女性は、毎月の月経によって鉄を失うため、貧血や血虚になりやすい条件が備わっています。
そこに加えて、ダイエットや偏った食生活、ストレスや睡眠不足が重なると、フェリチンはどんどん使われるばかりで、補給が追いつかなくなってしまうのです。
フェリチンを増やすには、単に鉄を「摂る」だけでなく、吸収・蓄える力を高めることが大切です。効率的に鉄とフェリチンを補う習慣を意識してみましょう。
◎吸収されやすい「鉄」を選ぶこと
鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。
ヘム鉄は肉や魚など動物性食品に含まれ、吸収率が高いのが特徴です。
レバー、赤身の牛肉、かつお、卵などに含まれます。
一方、非ヘム鉄は野菜や豆類、海藻に含まれますが、吸収率はやや低めですから、小松菜、ほうれん草、ひじき、大豆製品などは、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収を促進できます。
◎食事の「組み合わせ」に気を配ること
鉄の吸収を妨げる成分として、タンニン(紅茶・緑茶)やフィチン酸(玄米など)などがあります。
鉄を多く含む食事の直前直後には、濃いお茶やコーヒーは避けた方が無難です。
◎胃腸の健康を整える
意外に見落とされがちなのが、胃腸の働きと鉄吸収の関係です。
鉄は小腸で吸収されるため、胃腸の調子が悪いと、いくら鉄を摂っても吸収されにくくなります。
漢方では「脾」の働きを整えることで消化吸収力を高め、「血」を生み出す土台をつくります。
胃もたれしやすい、軟便気味、疲れると食欲がなくなるという方は、まず胃腸から整えることも大切です。
漢方では、血(けつ)が足りないことで体をうまく養えなくなっている状態を「血虚」といい、体を充実させる血が不足すると、子宮や卵巣に十分な栄養が届かず、ホルモンバランスが乱れ、当然、卵子の質や子宮内環境にも悪影響を及ぼします。
つまり、「妊娠しやすい体」をつくるには、血をしっかりと満たし、巡らせることが大前提なのです。
漢方では「当帰」「地黄」「芍薬」など、血を補い、巡らせる生薬を用いた「補血」処方がよく使われ、単なる“鉄の補給”が目的ではなく、総合的に体のベースを整えることができるのが特徴です。
日々のコンディションとしても鉄が足りないと、肌のくすみや髪のパサつき、情緒の不安定さ、動悸、不眠など、見た目にも気持ちにも変化が現れますが、“たまたま”“気のせい”とやり過ごしている方も多いように思います。
一陽館薬局では、日常の体調を含めしっかりとご様子をうかがい、お一人おひとりに適した体づくりのご提案をおこなっています。
体調が不安定な状態では、思うように妊活も進まないと思います。
心も体も元気になって赤ちゃんを迎える準備を整えましょう。
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