“妊娠しやすい体“をつくるということ

最近、「ラスト1回の採卵に懸ける!」という状況で漢方を利用したいとのご相談が増えています。

不妊治療は、“治療“というものの「不妊を治す治療」ではありません。
どんなに高度な医療を受けても、体の基盤が整っていなければ、結果に生かしきれないこともあります。

妊娠に向けた体調づくりは、不妊治療を受ける場合も、自然妊娠を目指す場合も、欠かすことのできない大切な準備です。
良い卵子と元気な精子が出会い、温かく柔らかな子宮に迎えられてこそ、新しい命が芽吹く。
この自然の流れを後押しするために、漢方の力が活きてきます。

漢方では、排卵・受精・着床という妊娠成立のそれぞれの段階を「生命の流れ」として捉えます。
そこに滞りや不足があるとき、体質から整えていくのが漢方の考え方です。

不妊治療中のかたでも「排卵日がわからない」「基礎体温が安定しない」といった悩みをお持ちのかたもおられます。
漢方では、基礎体温の変化や生活習慣、感情の動きまでも丁寧にうかがい、「気血の巡り」が滞っていないかを確認します。
気血の流れが整うと、ホルモンバランスも自然と調い、卵巣のリズムが安定してきます。

また、生理周期は整っていても、卵子の質や成長具合は一様ではありません。
体力や栄養状態、冷えやストレスといった全身のコンディションが深く関係しています。

漢方では卵子の質を充実させるために「精血」を補い、卵巣に十分なエネルギーと潤いを与えます。

卵管は、卵子と精子が出会う“道”です。
その通り道がスムーズであるほど、受精へのチャンスも広がります。
漢方では、気血の流れが滞ると卵管の通過も鈍くなると考え、体の内側から巡りを良くしていきます。

免疫の過剰反応やストレスによるバランスの乱れも、受精の妨げになることがあります。
こうした場合も、年齢や生活背景に合わせて体質を見極め、「内から整える」ことを重視します。

せっかく受精しても、子宮内膜の状態が整っていなければ、着床は難しくなります。
子宮内膜の質が低下する背景には、年齢による変化だけでなく、血の滞り(瘀血)や血液不足など、複数の要因があります。
漢方では、生理の様子を丁寧にうかがうことで、どんな「不足」や「滞り」があるのかを見極め、体質に合った処方で子宮の環境を整えます。

また、流産を繰り返す方の中には、明確な原因が見つからないケースもあります。
そのような場合、漢方では「母体を支える力(維持力)」の不足と捉え、「気血」を充実させることで体の安定感を取り戻していきます。

妊娠の土台をつくるのは「腎」の力です。
腎は生命の根を司り、生殖機能やホルモン分泌を支えます。
年齢とともにこの力は少しずつ衰えていきますが、漢方では「補腎」によって生命力を底上げし、年齢的な影響を最小限にすることを目指します。

「腎」が満ちると、気血も充実し、卵子や子宮の働きが活発になります。

不妊治療の主役は「治療」そのものではなく、「ご自身の体」です。

一陽館薬局ではお客さまのお話をおうかがいすることから漢方が始まります。
ぜひ、お話をお聞かせください。

妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。

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