夜のスマホが妊娠を妨げる理由
妊活中の皆さまへひとこと。
夜、ベッドでスマホをいじる習慣ありませんか?
「ちょっとだけ」
「寝る前のニュースチェック」
は日常的で些細なことに思えますが、妊活の観点からは見直すべき問題行動です。
最新の研究でも注目されています。
今回は、「なぜ夜のスマホが妊娠力に影響しうるのか」について説明します。
焦らず一歩ずつ改善できる実践的な対策もご紹介し、お役に立てればと思います。
①スマホの光(特に“青い光”)はメラトニンを減らし、体内時計を遅らせる
=スマホやタブレットの画面は青~白の波長成分(ブルーライト)を含みます。
この光は夜間のメラトニン分泌を抑え、体内時計(サーカディアンリズム)を遅らせることが複数の実験・臨床研究で示されています。
メラトニンは睡眠の開始を促すだけでなく、ホルモン分泌と深く結びついており、夜間に不要な明るさがあると睡眠の質やタイミングが乱れます。
②睡眠の乱れは月経周期や妊娠率に影響する
=慢性的な睡眠障害や睡眠の質低下は、月経不順や排卵障害、体外受精(ART)成績の低下と関連するという系統的レビューや観察研究が報告されています。
睡眠が短く質がよくないと、ホルモンの司令塔である視床下部—下垂体—卵巣系(HPO軸)のリズムが乱れる可能性があり、結果として妊娠しにくくなることが示唆されています。
③「体内時計の乱れ」は生殖機能そのものに悪影響を与える可能性がある
=夜勤や交代勤務などによる長期的な体内時計の乱れは、女性の妊娠しやすさや妊娠結果に負の影響を与えるという疫学的報告があります。
動物実験でも光・活動パターンの強制的なシフトが繁殖成績を下げることが確認されており、人間でも同様のメカニズムの関与が考えられます。
夜間に頻繁にスマホで目が覚める・夜更かしが習慣化している場合、それが“軽度の体内時計乱れ”を蓄積するリスクになります。
4) 睡眠不足は妊娠経過にも影響する
=妊娠前後の短い睡眠や睡眠の質低下が流産リスクや早産、妊娠高血圧といった周産期リスクと関連する可能性が示されています。
妊活の段階で睡眠を整えることは、妊娠しやすさだけでなく妊娠してからの経過にも良い影響を与える可能性があります。
実践できる優しい改善策として、すぐ始められるものをご紹介します。
◎就寝2時間前から“スクリーンオフ”を目標にしましょう。
◎スマホでどうしても見る場合は「読むだけ」・刺激の少ない内容に限定。
SNSの炎上やニュースは脳を覚醒させやすいで寝る前は控えましょう。
光量やコンテンツ(動画・ゲーム)の刺激も重要です。
◎就寝前のルーティンを。
温かい飲み物(カフェイン抜き)、軽いストレッチ、深呼吸などで心身を落ち着けましょう。
◎朝の自然光をしっかり取り入れる。
日中にしっかり光を浴びることで体内時計が整いやすくなります。
◎眠れないときは「スマホで時間を確認しない」工夫をしましょう。
時計表示だけで覚醒が強まることがあります。
「スマホをやめなきゃ」と完璧をし過ぎず、まずは小さな改善を積み重ねることが結果に繋がりやすいかもしれません。
夜のスマホ時間をほんの少し減らしてみる、
それだけで眠りの質が改善し、体とホルモンのリズムが整い、体調そのものも安定します。
睡眠自体の深刻な問題(中途覚醒が頻回、日中の強い眠気、うつ傾向など)についても、お気軽にご相談くださいね。
無理なくできることから整えていきましょう。
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参考(主要研究・レビュー)
Heo JY et al., smartphone blue light effects on melatonin (臨床試験)。
Höhn C. et al., 夜間スマホ使用とメラトニン抑制に関する報告(Brain Communications, 2024)。
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